独裁者と小さな孫のレビュー・感想・評価
全7件を表示
臭すぎる演出。
誰に対し手忖度しているのか?訳わからない。
『もう、大統領と呼ぶな!私は国の元首ではなく、お前も殿下ではない』
要はこの言葉ですね。たから、邦題の『独裁者と孫』は間違ってます。
訳せば『大統領』になるのは、英語の苦手な私でも分かります。つまり、この独裁国家は明らかな『共和国』なのです。だから、本来は主権在民で三権分立のしっかりした国家なのです。それはこの独裁者が分かっています。つまり、このガキには最初から大統領の継承順位など無いわけです。
その点が日本人の陥りやすい間違いだと思います。
それを踏まえて、クーデターを考察すると、民衆蜂起の民主的なクーデターは、近現代の世界では無かったと思います。また、クーデター自体が稀ではありますが、たいがい『軍事クーデター』で勃発します。例外的には一党独裁の非民主的国家で、最初から『人民共和国』と称しています。つまり最初から人民独裁による共和国だった訳です。共和国が無理矢理独裁国家に変わったのは、近現代史のドイツとイタリアとスペインとアルゼンチンだけだと思います。そして大事な事は、それらの国では、どの国も次の世代に世襲してはいない事です。しかし、人類史上例外的に、あの国たけが世襲を残していると思います。
では、そのドイツやイタリアと一緒に民主的な米英を仮想敵国にした我が国はどうであったでしょうか?かつては軍事独裁国家だったかも知れません…しかし
現代の我が国は、イギリスと同じ立憲君主国です。君主はいらっしゃいますか、立憲が冠に付いていますから、憲法で守られた民主国家と言えます。しかし、『陛下』を英語で『Emperor』と呼んています。ちなみにイギリスでは『KING』です。憲法では、立憲といているのに、何故『Emperor』なのか、私は疑問に思っています。勿論、陛下は実権は持ちませんが、形の上での継承権はあります。
それを踏まえてこの映画は見るべきです。ちなみに、イランは以前は王国でした。パーレビ国王が旧国営放送に生出演していた記憶が私にはあります。
この映画を見て、プーチ○大統領を思い浮かべては間違いです。彼はロ○ア国民に選ばれました。○連のKGBたから、大統領になれた訳ではないのです。
勉強になる
おじいちゃんものを探していて辿り着いたお話。
ロシアの方の革命とか戦争をモデルにしているらしいのですが、勉強になります。
こういうことするんだ、とか具体的な戦争のグロさとか。
でもそういうのを、全然ダメージ受けないようにさらっと描いていて、何かいい感じ。
勉強として色々頭に入って来る。
リアルに色々表現すると、重くなってしまって「勉強になる」とかそういう余裕がなくなってしまったりトラウマになってしまうので・・・。
このお話はとてもキレイな少女漫画(グロい表現のないという意味)を映像化した感じのものです。
なんか現実味がなくて「あれ・・・?」という感じ。
最後のセリフは良かった。
『独裁者を殺しても、国内ではまた暴動が起きる。
結局いいことが起こる訳がない。
人を殺したところで、
復讐をしたところで、負の連鎖を生み出すだけで何の生産性もない』
国を良くしようと尽力を尽くしても、「統治するもの」が国をまとめないと国が良くならない。
でもそれには限界がある。
あるいは、もっと状況が悪くなっていく。
統治者が権限を持っていれば、どんなことも出来てしまうから人は抑えつけられる方向に行ってしまうから。
国を良くしようとした結果が、統治者の独裁化なのだ。
独裁者を独裁者たらしめるのは民衆であり、
独裁者を殺したところで、国中で混乱が起こるのは明白なのである・・・
良い例がヒトラーとフセインだろう。
死んだ後に国中で大混乱が起き、
中東ではフセインがいた頃以上に紛争が激化している。
何かそういうのをほんの少し考えさせられたというか。
それに気づいただけでも勉強になりました。
少女漫画を映像化した映画、ととるとすごく素敵なお話かもしれません。
ドラマ映画ならぬ、少女漫画映画。
映画としては・・・なので低評価です。
復讐の連鎖は、何処かで止めなければ。
独裁国家の大統領を恨む者は大勢いる。孫と国中を逃げ回り、最後は捕まり、殺されそうになるのだが、復讐の連鎖は、止めなければならないんだと言う者が現れて、それでも殺そうとする者たちに、そいつを殺すなら、俺を先に殺せと首を差し出す所は、びっくりした!(泣いてしまった。)家族を無惨に殺されるのは、哀しいことだけれど、結局は、“許せる”ということが大事なのだろう。
当事者しか解らないことかもしれない…
ストーリーは興味深いけど演出が…正直コントかと…
それぞれのエピソードが断片的でもんもんとしてたら
ラストにかけて監督の伝えたい事をセリフで伝えられます
いや、それ言わしたらあかんやろw物語で伝えてよw
圧政を経験した監督だから直接的になったのかな
孫が可愛いかったのと大統領の演技が良かったので2時間保ちました
悪人に見えない独裁者!
ヨーロッパ映画らしい?淡々と話が進みます。逃走劇なのですが、悪人に見えないおじいちゃんと孫のロードムービー。
本当、悪人に見えないんですよね。甲斐甲斐しく孫の世話をやく、おじいちゃんなんですよ。変装のカツラしてると、むしろ、ロード・オブ・リングのガンダルフに見えます。意図した演出なのかな?
前半は、コメディタッチで、むしろ微笑ましい雰囲気。その雰囲気は、全て純真無垢な孫の愛らしさからくるもの。本当可愛い。
しかし、逃走中に見えてくる圧政に苦しんだ国民の生の声、クーデターによる無秩序が生んだ悲劇を目の当たりにしていくうちに独裁者の心境の変化が、孫との会話や、難民とのやりとりから伺いますが、しかし現状は、何も変わらず、逃げるしかなくて、ラストを曖昧にしてるのも、何となくわかります。助かったのか、殺されたのか?
話的には、淡々と進むせいか、後半だれます。政治犯に出会ってから、家にたどり着いての悲劇は、短くしても良かったように思います。
後、ラストの群衆の中に一人だけ独裁者の助命を訴える者が居ます。
途中で一緒になった政治犯の一人で、いきなり言い出すのでなく、そういった演出が途中にあるので、まあ良いんですが、個人の感想としては、そういう思想でそう言っているだけで、感情が伴っていないと言うか、
人は、そこまで割り切れるものかと、思想なんて激情に流されてしまうじゃないかと。
つたない文章で、分かりづらくて申し訳ないですが、しっくり来なかった部分です。
長々と書きましたが、良い作品であるのは間違いないので、観て損はしません。
孫と祖父の灯した明かり
今年最後の年納め一本。マフマルバフがやってくれた。どこまで、ぼくの寿命を縮めれば気がすむのか。『サイクリスト』で見せた滑稽さ、『サイレンス』の音色、『カンダハール』の苦しさ。全てが相まって“マフマルバフ福袋”とでもいようか、プレゼントしてくれた。そして、マフマルバフ作品の映像が、こんなに綺麗になってはズルい。独裁者と殿下という関係から、普通のおじいちゃんと孫の関係へと、とけ変わってゆく様は見ていて微笑ましい。が、その道のりで自覚させられる独裁者としての、独裁者の孫としての姿。どちらも、鮮明に生々しく描かれている。この傑作に出会えてよかった。
全7件を表示