殺されたミンジュのレビュー・感想・評価
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【”昨年、5月9日の記憶は?”人間の罪と贖罪というテーマを前半は物凄い暴力描写で、後半は哀しみのトーンでキム・ギドク監督が描き出した作品。若きマ・ドンソクの怒りと哀しみの演技が物凄い作品でもある。】
■ある町を必死に逃げ惑う女子高生と彼女を追う屈強な男たち。その少女は直ぐにビニールテープで顔を巻かれ殺される。
事件から1年が経った頃、真相を追う謎の集団が動き始める。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作で謎の集団のリーダーを演じる「新感染 ファイナルエクスプレス」で大ブレイクする前の、今よりややスリムなマ・ドンソクが、次々に拉致した男達に加える拷問シーンが、マア凄い。
マ・ドンソクに釘が突き出た棒でバシバシと叩かれたくはないなあ。
そして、男達は自分達がやった事を、血だらけになりながら紙に書き、ある男は車の中で家族に詫びながら、拳銃自殺をするのである。
・謎の集団のリーダーが、何故に次々に男達を監禁し、拷問し犯した罪を書かせる理由は、後半に明らかになるのだが、謎の集団のメンバーは、一人又一人と余りの拷問の酷さに集団を抜けて行くのである。
だが、リーダーは”全てが終わったら、俺も死ぬ。”と言って拷問を続けるのである。
■今作は、罪と贖罪というテーマに拘ったキム・ギドク監督の、前半は暴力性、後半は哲学性が出た作品だと思う。
残念ながら、監督の作品は映画館では観た事がないが、相当に複雑な精神性を持った監督だった様である。でなければ、韓国映画界を追放され、異国で客死する事はなかったであろう。
・謎の集団のリーダーに代わり、最初に拷問を受けた男(キム・ヨンミン)が、女子高生を殺す指示を出した男が”従わなければ、俺が上に殺される。”という言葉を聞いた後に少女を殺した同じ方法で殺した後に、彼は涙を流すのである。
<そして、最初に拷問を受けた男は、僧服で高台の石の上で座禅を組み涙を流す謎の集団のリーダーの背後から、警策のように釘が突き出た棒で肩を激しく叩くのである。リーダーは抵抗しない。そして、息絶えるのである。
今作は、キム・ギドク監督が拘った罪と贖罪というテーマを、前半は激しい暴力、後半は哀しみの描写で描いた作品なのである。>
よっ!マ・ドンソク
二番目に拉致されたイセは直後に自殺。最初に拉致された男オ・ヒョンは、その後も拉致し続けられる者たちを尾行して、謎の集団の秘密を探ろうとする。
かなり深い内容。謎の集団のリーダーは、憤りや怒りを持ってる者をネットで集め、女子高生ミンジュの復讐をしているようにも思える。リーダーの行為は絶対であり、電気ショックだったり手を金槌で叩いたりといった拷問に逆らうことさえ許されない。しかし、一人ずつ受ける拷問に対して徐々に離反していくのだ。6人目は超大物。偽物の銃で脅されても屈しない、軍の将軍だったのだ。そんな彼を、リーダーだけが持っていた本物の銃で撃ち殺してしまう・・・
鬱屈した心を正すには命令に従わせるしかないといったストーリーで、それはミンジュ殺しも謎の集団も変わりはない。下手をすれば北朝鮮の絶対君主制とも変わらないのだ。
結局は女子高生殺しの理由も実行内容もわからないまま。写真からすると、女子高生はリーダーの妹あたりの身内だということだけだ。完全なる縦社会の批判。怒りを感じていても何もできない若者たちの在り方を問うているような気もする。
ラストは、最初に拷問したオ・ヒョンが実行犯7番目の男を女子高生と同じ手口で窒息させ、謎の集団のリーダーを撲殺する・・・
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