ナイトクローラーのレビュー・感想・評価
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同じ穴の狢
ゴミを漁るようなケチな仕事からパパラッチになった男が、高額買取の刺激的な映像を求める余り常軌を逸していく…。
去年日本公開された洋画の中でも指折りの一本!
もし去年中に見ていたら間違いなく年間ベストに入れていただろう。
見る前から期待していたが、評判に違いナシの衝撃のサスペンス!
その昔、TV局の映像ディレクターと盗聴マニアの男がヤバい事態に巻き込まれていく「[Focus]」という邦画があったが、それを彷彿させた。
このスリル!ゾクゾク感!胸クソ悪さ!
どんどん狂気じみていく主人公、反面教師的なサクセス・ストーリーは、不謹慎ながら痛快ですらあった。
最初は、ちょっと俺もやってみよう、ぐらいだったろう。
たまたま撮れた映像が高値で売れ、病みつきになった。
その美味はまさに麻薬でありギャンブル。
一度味を覚えたらもう止められない。
どっぷり骨の髄にまで染み渡る。
高価い報酬も魅力。
でも主人公ルーにとって、金と同じくらい…いや、それ以上にこの仕事そのものが堪らないのだろう。
巡り出会った天職。
毎日がドキドキするような興奮。
自分も今の仕事は決して給料はいいとは言えないが、それなりにやりがいを感じている。
…あ、勿論、こんなヤバいのとは違うちゃんと全うな仕事だけどね。
この素晴らしきクズ野郎!
ジェイク・ギレンホールの狂演は圧巻。
ギョロッとした目、痩せこけた頬…その異常なまでの執着心を表すのに充分。
人としてのモラルや命より、特ダネ、金。
「我々はプロだ」「彼はネタだ」…あるシーンにはゾクッとさせられた。
同業者や自分の映像を高く買ってくれた恩あるディレクターへの威圧的で独善的で高慢な態度。
ある現場では、常人ならまずする事をせず、カメラを回し続ける。
更なる映像を求め…。
主人公がクズであればクズであるほど比例して映画が面白くなってしまうのだから困ったものだ。
レネ・ルッソ(彼女も名演!)演じるディレクターも印象的。
全ては視聴率。
ルーの狂気に囚われるかのように、彼女もまた正気の沙汰じゃなくなっていく様がヒヤリとさせられる。
ルーの助手、リック。
キチ○イ連中の中で、唯一のまともな人物。
次第にルー色に染まっていくかと思ったら…
弱肉強食の世界では仇となる。
リズ・アーメッドも好演。
ダン・ギルロイの緻密な脚本と手堅い演出は見事。
夜の都会の映像が美しくもスリリング。
売る側、買う側にとって、人の不幸は蜜の味。
その味を何より楽しみにしているのが、見る側。
年明けから日本の芸能界はスキャンダル続き。
やれ解散だの、やれ不倫だの、やれ三角関係だの、やれ逮捕だの…。
はっきり言って、どうでもいい、下らないものばかり。
それらをとことんスクープし続けるマスコミ。
毎日毎日大々的に取り上げる各局。
ネットであれこれ叩きながらニュースから目が離せない視聴者。
皆、同じ穴の狢。
狂気的サクセスストーリー
見ていて不気味な映画
良かった点
・ジェイク・ギレンホールがただただ不気味かつ狂気的。
・パパラッチという職業とテレビ業界の実態を行き過ぎた描写で浮き彫りにしている風刺的な面もある。
・刑事が捕まえるというendではなく主人公のルーが成功するというendなのがリアルに感じた。
・夜のシーンが多くダークな雰囲気にあっている。
クズしかいない
主人公演じるJ・ギレンホールの演技がすごい。カメラを持って姑息に小走りする姿が本当に最低だと思いました。
マジでやな奴だし、熟女好きな感じもなぜか納得笑
音楽とシーンの組み合わせが新鮮でした。
「タクシードライバー」のトラヴィスの再来
いやこの宣伝は卑怯だわ見るわそんなんこの謳い文句とJギレンホールのギョロ目見たさに見たようなもん笑。
ドニーダーコとゾディアック以外で見たことがなかったJギレンホール。意外と最近の映画にも出てると知って嬉しい若手のホープらしいので今後も期待したい。
パパラッチってのは道徳的に嫌われる仕事たぶん日本人ならなおさら嫌いな存在だと思う自分も嫌い。
ただ人間誰しも心のどっかで実際に起きた事件の現場を安全な場所から覗いてみたいと思ってる部分があるそれを叶えてくれるのが報道であり、パパラッチなのである。
人間の偽善的な主張と潜在的な欲望の間を取り持つ存在って感じ?
そんな仕事に夢中になり、勤勉で粘り強い性格で実力をつけて行くのが主人公のルーブルーム。
しかしよりインパクトのある映像を求めた彼は現場の捏造を始めるなど徐々に倫理観を失くしていく。
民家に不法侵入し撮影したり、ライバルの同業者を事故へ誘導し、特ダネにしたりともうここら辺から目が瞳孔全開のギラッギラ笑。現代的に言うなら完全にサイコパスげっそりした顔付きと猫背で不気味さ倍増。
道具もより高性能なものになり、アシスタントも雇い、会社として事業を立ち上げようとする最中起きた豪邸での強盗殺人事件。このシーンが1番狂ってたんじゃないかな?逃げずに撮り続けるしかも最後の被害者生きてたでしょあれ。しかもそれらをもう一つの特ダネとして利用するこの頭脳。まさに計算通りしかも犯罪として立証しにくい行為。これに影響されてこんな犯罪者出てきたらどうすんだ?笑
しかも行動力だけでなく、交渉術にも長けているそしてそれを冷静に遂行するのが怖いいっそのこと怒鳴り散らしてくれる方が怖くない笑。
車内でリックを説き伏せるシーンすごいハラハラしたなぁ振り向き様にどんな顔すんだろってザワザワした笑。
最後は釈放され、無罪放免。彼が刑事に対して言った
「僕は人の破滅の瞬間に現れる」
は開き直りといってもいいくらいにその通り。破滅の瞬間を作り上げていることが立証できなければ彼は犯罪者ではないのだ。こっわ笑。
今回のJギレンホールがオールバックなのもあってか自分が大好きであるバンドArctic Monkeysのアレックスターナーに似てるような気がした。だからより好きになった笑。
想像の範囲内
予告編を何度も見たら、観たくて仕方なくなり、期待して観て、期待は外さないものの感銘を受けるには至らなかった。
ただ、ジェイク・ギレンホールの演技が何をしでかすか解らないルイスになりきっており、ろくでもないこそ泥から違法スレスレ(違法とは思う。)の特ダネ撮影会社の社長(笑)になるまでの流れは見入ってしまう。
明らかに悪人で正直、側に居たら不安になるような男の話を見入らせる力がこの作品にはある。
しかし、海外のNEWSが悲惨な映像を流すのに、いちいち予告して流しているのは本当なのだろうか?
一瞬、日本もそうしたら?と思ったが見たがるだけの傍観者って質が悪い。
ルイスの持ち込んでくる特ダネに対する嫌悪感と相対する好奇心は誰にでもあると思う。でも要らぬ好奇心で他者の痛みを覗き見るなんて最低な行為ってのを伝える意味もあったのだろうか?
とりあえず、気になった方は勢いで観たら良いかと思います。
期待度は高かったのだが...
倫理観を失ったニュース映像撮影・提供の仕事を始めた若者が、狂気にのめり込んでいく様に焦点を当てたら面白い映画がつくれるというシンプルな発想で作られた作品と感じた。
期待度はとても高かったのだが、そこまでではなかった。
でも自分の雇ったスタッフに対するパワハラ的接し方は、自分の現実とクロスし、倫理観が欠如している人間が平気でパワハラできるのだなと、とてもリアリティーを感じた。パワハラ上司に反撃できる方法を示してくれれば私的には最高評価だったのだが...
そんな人間こそ世の中にはびこっていくのだということを暗示していて、それも恐怖と嫌悪の度合いを高めているんだな。
The question is what I want to do. ジェイク・ギレンホールの怪演が光る傑作
見終わった後にズシリとくる映画でした。いやー、スゴい物を観た。
とにもかくにもジェイク・ギレンホールがヤバ過ぎです。あの目付き。痩せてギラギラしていて、ちょっと猫背で、人を不安にさせる外見を持ちながらも、論理的に喋って相手に反論させない。パートナーであっても必要ならスクープのネタにする頭のキレ。本当にこの人サイコパスなのではないかと思えるぐらい役にハマっています。
主人公ルーが自分がやりたい事を見つけ才能を開花させていくサクセスストーリーでありながら、主人公のサイコ過ぎてて全く共感ができないキャラクター。人から認められる為に平気で人を犠牲にできる狂気。ルーは良心の呵責が全くなく本当に胸くそ悪い人間ですが、こういう人間こそが成功するという話には妙に説得力があります。そんな誰からも嫌われる人間を見事に演じきっているジェイク・ギレンホールに拍手です。
見終わった後に何も考えられなくなるほど飲み込まれる作品でした。
クズのやり口。
とにかくこういう映像は見る者がいなけりゃそうしてまでは撮らない。
つまり撮る側と買う側のモラルの欠如を問うばかりではなく、一番の
お得意様は私達視聴者なのだとまざまざと見せつけてくれる問題作品。
しかし面白かった!この醜悪な主人公のクズぶりをここまで体現して
なお気分悪く終わらせるという絶妙な演技のギレンホール氏が最高!
プロをも騙す素人のやり口の汚さと狡猾さに舌を巻き、その悲劇から
大金をせしめて他人の不幸を晒し物にする良心のなさに脱帽さえする。
こんな奴にスクープ撮らせてたまるか!なんて思いながら、この現場
はどんな風に編集するんだろう、なんて思わされるからもう堪らない。
いやいやいや…実際に行われていることまで想像できちゃうのが怖い。
この面白さは高揚か戦慄か今いる現実への嘲笑か。
渋谷アップリンク見逃した映画特集でジェイク・ギレンホール主演「ナイトクローラー」鑑賞。
コソ泥がニュースのスクープカメラマンとしてのし上がり力を得ていく物語。
映画批評のライターが「ブラック時代の成功マニュアル」と書いていたけど、その通り。
映画館から出てくる青年二人が「面白いんだけどさー、胸糞悪いよねー。」って会話していたけど、それがこの映画の本意で、三面記事の凄惨さに見入ったりするけど、空っぽで何も残らない。
ジェイク・ギレンホールが演じた、形振り構わない経営者なんて、もうそこかしこにいる。そういう時代でくる所まで来始めているから、そろそろ目を覚まして、違う方向に行けないだろうか。今はどれだけ頑張っても空虚な物しか残らない。
ジェイク・ギレンホールが好きな俳優さんで演技が評判だったから観に来たけどとても良かった。
この映画で描かれる主人公やマスコミの行為は不快で不気味で非道徳的で...
この映画で描かれる主人公やマスコミの行為は不快で不気味で非道徳的である。でも主人公は需要に応えているだけ。本当に一番恐ろしい存在は映画で直接描かれていない「センセーショナルな映像を見たいと欲する視聴者」。そこに気づくと何とも言えない気分になる。
悪寒が止まらなかった
「人の破滅に俺は顔を出す」っていうようなセリフを主人公が言ってたけど、お前が早く破滅しろと思わずにはいられなかった。鑑賞中も主人公の狂人っぷりにずっと寒気がしてました。こんなに背筋が寒くなった映画は久しぶり。下手なホラーよりずっと寒くなる映画でした。
我々は今、デストピアを生きている。
格差が開き、決して抜け出ることのできない社会。
地域や国家などの公共に対する責任を考えない社会。
短期間で結果を出し、そのことでしか評価されない社会。
例えば「太陽がいっぱい」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」とは
全く異なる無自覚なる犯罪者。
果たして自分が完全にそうではないと言い切れるのか?
89点。
クレイジー
主人公を演じるジェイク・ギレンホール。他の映画では脇役であまり目立ちませんが、今作品ではかなりのハマリ役だと言っていいでしょう。
ダークヒーローってなんだかんだ愛着が湧いたりするものですが、映画を観ていくにつれて、どんどん嫌いになっていきます。
ただその役作りが見事すぎて、今作品はギレンホールの代表作の1つになりうるでしょう。
最後はここで終わるのかとやや物足りない気持ちになり、そこがわずかながらマイナスポイントでしょうか。
悪い奴なのに眠らない
全編に渡って物語のバックグラウンド(というか主役?)となるLAの夜の艶めかしさよ。『ドライヴ』『アウトロー』に比肩する素晴らしい撮影。これだけでもうお腹いっぱいなのにジェイク・ギレンホールの怪演によって本作は唯一無二のものになっている。悪い奴なのに眠らない…
報道のあり方を問う社会派サスペンスとして観るのが正しいだろうけど俺は仕事映画としても観た。そうなるとなんか説教されよるみたいでちょっとしんどかったな…意識低いゆとり世代の僕です
ちょっとGTAっぽさもあったな
ジェイクになりたい
なんだろうか、チューインガムで痩せたジェイク・ギレンホール、もはや最初から不気味でやつていることが人間ではない。
しかしながら、彼の演技力は凄すぎる。
これは、ジェイクにしかできない役柄である。
不気味、気持ち悪い、という評価が多いが、彼のファッション、髪型はなぜか素敵に見える。
発狂するシーン、なぜか1人で大笑いするシーン、何においても完璧である。
年上の女性が好きなんだ。と上司に迫るシーンや、その女性に俺は仕事ができる、こないだ焦らしやがって、とか言うシーンもあるが、それさえも魅力的に見える。
とりあえず、今年一番の映画であることは間違いなし。観るべき映画である。
夜を這い闇を食む
“ナイトクローラー”とは、むごたらしい犯罪や事故の現場にいち早く駆け付けて撮影し、
その映像をテレビ局に売り込む者たちの俗称なのだそうだ。
視聴者の食いつく刺激的な映像であるほど、映像の値も上がる。
映画に登場するプロデューサー・ニーナの弁を借りれば、
「被害者が富裕層の白人で、犯人が貧困層やマイノリティならなお良い」。
ケチな仕事で生計を立てていた主人公ルー・ブルームは、たまたま
居合わせた事故現場でその商売を知り、自らもその世界に足を踏み入れる。
初めこそ見よう見まねで仕事をしていたルーだが、極めて貪欲で
手段を選ばない彼は、その業界でみるみる内に頭角を表していく。
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警察無線を傍受し、血生臭い現場を求めて夜の街を疾走するルー。
屍肉の臭いを嗅ぎ付けて血眼になる姿はさながらハゲワシだ。
最初に頭に浮かんだのはハイエナだったが、ハイエナは群れで動き仲間意識も強い。
ルーは違う。全く違う。
細長い体躯にぎょろりとした目玉、常ににやにや笑いを貼り付けたこの男は、
薄気味悪くは見えるものの、腕っぷしは強く無さそうだし、フランクで饒舌だし、
パっと見はよほど危険な人物には見えない。
だがその実、映画冒頭のような唖然とするような真似を平気でやってのける男であり、
協力してくれる人間さえも脅し嘲り罵り骨の髄までしゃぶり尽くすような男である。
1シーン、たったの1シーンだけ、彼が激昂するシーンがあるが、
そのゾッとするような剥き出しの怒りは忘れ難い。餓鬼さながらのあの表情!
彼は……なんと言い表せばいいか……
ちょっと手を伸ばして醤油の瓶を取るような感覚で、
相手の顔面を殴って財布を持ち去るような、そんな感じの男。
彼にとって『欲しいものを手に入れる』のは至極当然の事で、その為に他人が苦痛を被っても
気にも掛けない。いやむしろ、それを必要なプロセスだと考えている節さえある。
同情とか憐憫とかそういった感情が、彼からはごっそり欠如してしまっているのである。
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他人の不幸を食い物にするこの業界において、ルーの特性はまさしく天賦の才だった。
彼は他人のテリトリーを易々と侵し、誰の死も気兼ねなく撮り、より大きな獲物のために平然と他人を犠牲にする。
おまけに彼は勤勉だ。ネットや協力者から得た情報をスポンジのように吸収し、
知識として巧みに使いこなす……特に他人を懐柔あるいは出し抜く手段として。
そんな危険極まりない人間が、この映画で描かれる世界ではヒーローとなる。
人の死を苦痛を食い物にすればするほどに持て囃(はや)され、金と名声によって
さらなる装備とバックアップを手にし、より多くの屍肉を求めて這い回る。
この男はとんでもなく狂っているが、それを是として崇める世界も同じくらいに狂っている。
まあ、モラリストぶって話す自分自身、
『世界の衝撃映像スペシャル』みたいな番組はついつい見てしまう人間である。
内にある暴力衝動なのか、はたまた薄れかけた生存本能を刺激されているのか、
遠回しであれそういうビジネスに荷担している一人なのかもしれないと考えると……ううむ、複雑。
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本作を傑作『タクシー・ドライバー』と比較する向きがあるが、正直、同じくらいに薄気味悪かった。
ジェイク・ギレンホールの名怪演に圧倒されっぱなしの118分間。
後ろめたい衝動を刺激するアンダーグラウンドな世界、そして、
社会に交じるには危険過ぎる人間を助長させるような土壌、
それらを垣間見られる不気味な傑作。
自分がどんな死に方をするか分からないけれど……こんなトチ狂ったハゲワシの、
大きく冷たい瞳孔に見つめられながら死ぬのだけは御免被りたい。
<2015.10.18鑑賞>
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