劇場公開日 2015年1月31日

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「若手の映像!」さらば、愛の言葉よ ヒロモチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0若手の映像!

2016年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

あのゴダールが新作を3Dで出した?! [ダブルダレ]
と聞いて「さらば、愛の言葉よ Adieu au langage 3D」というのを観てきました。

彼(ジャン=リュック・ゴダール Jean-Luc Godard)は若い。

名前が売れている人だから観に行っていろいろ感じようとしたり考えようとしたりするけど、きっとフランスの若手の作品であると言われて観たら「うーんよく分からないけど、なんか面白い」てな感じで素直に受け止められるのかもしれない。

物語、あるいは、中でも出てくる「メタファー」などからも多重に超越しているような、詩や哲学・数学(デュラックのデルタ関数とか)などの言葉の断片、音楽の断片(あれはベートーベンの交響曲第7番 第2楽章かな)、映像(自身の愛犬など)の断片で作り上げたコラージュのような世界。

3Dもクローズアップ以外は概ね焦点が合わせ易く、一部左右異なる映像が流れるところなんかキュビスム的な雰囲気が醸し出されているし、絵画と言えば水面[みなも]の映像なんかはモネの作品に出てきそうだけど、やはり単なる断片なのかもしれません。

冒頭の港や船も繰り返し出てくるイメージのひとつで時間も空間も異なる世界への誘い[いざない]をイメージしているのかと勘繰るけど、きっとゴダール本人にこんな話をすると「くそっくらえ!」てな語調で "Au contraire" て言うんでしょうね。(ちなみに映画の中では○○は音だけ出てくるので安心です)

ヒロモチ