「その幼さ、思慮の浅さが、アメリカ」アメリカン・スナイパー rie530さんの映画レビュー(感想・評価)
その幼さ、思慮の浅さが、アメリカ
父親は息子に教えた。
「人間には羊と狼、そして羊を守る犬がいる。羊は弱きもの、狼は弱きものに理不尽な暴力をふるうもの、そして犬は果敢にそれに立ち向かうものだ。狼の暴力を私は許さない。しかし犬であればそれは許される力だ。」
9/11を見たクリス・カイルは羊を守る立場になろうと入隊し、犬としてスナイパーとなる。
女性を、少年を、彼は撃つ。「守るために」
でもほんとうの羊は誰だったのだろう?
サダム・フセインの核保有を理由に行われた米軍のイラク侵攻は全くの口実であり、その実際は石油利権だったことが明白になった今、この理由のなんと拙く愚かなことか。
アメリカこそが狼だったのではないのか?
父親がベルトで叩いてでも収めようとした、無為な暴力ではなかったのか?
クリス・カイルは戦争で病んだ(らしい)帰還兵によって殺された。
讃えられるべき番犬の死に方では決してなかった。
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