「重い問いかけ」アメリカン・スナイパー ambrosiusさんの映画レビュー(感想・評価)
重い問いかけ
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決してアメリカ礼賛映画ではない、かといって反戦映画でもない。主人公にとっては、この戦争で戦う意味は極めて明解だ。「射殺した全ての理由を神の前で説明できる。自分が悔やむのは救えなかった仲間の方だ」という台詞は、衝撃的ではあるが、彼にとっては当然の事なのだろう。
ヒーロー、伝説、と呼ばれると、それを誇ったり喜ぶどころか、寧ろ困惑する主人公。戦地を離れると脱け殻のようになり、身内の「危機」に過剰に反応してしまう姿。類い稀な才能を持った主人公も、壊れそうな心を持った一人の人間である事をイーストウッドは丹念に描き出している。
最後の砂嵐の中での壮絶な銃撃戦は、まさに暗中模索するアメリカそのもののようだ。
主人公の葬列と追悼式を写したあと、エンドロールは全く無音で流れていく。イーストウッドの重すぎる問い掛けが心に刻まれて行く。
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