「戦争のヒーローは敵から見たら極悪人」アメリカン・スナイパー マツドンさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争のヒーローは敵から見たら極悪人
スナイパーは、
味方の兵士を助けるための正義の体現者。
しかも、
160人以上の悪者をやっつけてレジェンド。
危険にひるむことなく、
逃げ出すこともなく。
家族とのあつれきに苦しみながらも、
PTSDに悩みながらも、負けることなどなく。
でも、
視野を広げれば、誤爆、誤射で
あまりにも多くのイラク民間人が
命を失った事実。
ま、クリント監督が描くはずもないのは
当たり前か。
敵は、
子どもを電動ドリルを殺すような
残虐極まりない者として
描かれていたけれど
本当にクリス・カイルの敵は
そんな残虐な者たちばかりだったのだろうか。
戦場からタヤに電話する時、
クリスは、敵兵にも家族がいる事実が
頭によぎったりしたことはあるのだろうか。
その家族の悲しみや苦しみに
思いを馳せたことはあるのだろうか。
子どもを撃たなければならない時のみ
呵責を感じていれば、許されるのだろうか。
そして彼にも、誤射はなかったのだろうか。
戦争におけるヒーローを描くことは
どんな描き方であろうと
戦争賛美にしかならない
そう感じた映画です。
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