「これは逆にネタになる」ブラックハット ハルさんの映画レビュー(感想・評価)
これは逆にネタになる
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主人公が銃をちょっとだけしか使わない、というのが面白い。
マイケル・マンが自分の作品に何が期待されているかはわかっているだろうし、ちゃんとそれに応えるシークエンスは用意されている。『パブリックエネミーズ』でも顕著だったが、彼の作品では銃撃戦の演出で着弾音が強調されている。今回は金属製のコンテナへの着弾音が印象的だったし、クリヘムとタンが盾にした街灯柱への集中した射撃の音響もそう。「相変わらずだな」とニヤニヤ出来る部分だ。
問題はそれら以外の物語の大筋でかなりつまらないということ。冒頭のフィンチャー的なシークエンスも冗長で「やってみた感」が強い(さらに2度繰り返された)。ハッキングの描写も専門的なセリフとベタな所作のアンバランスさがセンス悪いし、しかもタイピングの音をあえて大きくしてあたかも射撃音のように表現していたのもそう。ユニークだけどこちらとしてはポカンとするよりない。
タン・ウェイのへの字口演技は批評の対象にすらならない。ただ何となく可笑しみがそこかしこに漂ってしまうのは彼女の何だかよくわからない演技プランのおかげかもしれず、兄貴にクリヘムと寝てるのを見つけられるシーンも「そこでやってたのかよ」と笑えたし、車を屋上から叩き落とすシーンもその前の描写がくだらなくて笑えた。ちなみに露出が足りなかった、とは思わない。
クライマックスの抽象的な場面設定にもポカンとしたが「天才ハッカーが最後それなの? はあ何これ『ドライヴ』?レフンかよ!」とかツッコメて面白かった。
これ、将来のカルトムービーとして再評価される可能性が1ミリくらいはあるよね。
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