「大好きな監督なだけに残念」ブラックハット こっこさんの映画レビュー(感想・評価)
大好きな監督なだけに残念
マイケル・マン監督と言えば、やっぱりヒート。
あのヒリヒリとした世界観は、ノーラン監督のダークナイトやベン・アフレックのザ・タウンにもしっかり受け継がれています。
が、今作はマイケル監督の演出は感じられるもの、魅力的な登場人物が皆無という致命的な欠陥から、ストーリーが全て陳腐になってしまっています。
ヒートのデ・ニーロがもつ、悪でいなければならない生き方とそこから抜け出したい願望、アル・パチーノは悪よりも手荒で汚い猟犬のような刑事で、そんな下品なプライドがぶつかり合うという生臭いハードボイルドが、今作では一切感じられません。
敵のアイデンティティが、何も浮き彫りになっていない。
何故テロを起こすのか、起こさざるを得ない状況なのかが、あんまり感じられない。
国のためではなく、自身の自由のために戦うハッカーが無敵なのも違和感がすごい。
ハッカーで捕まったのに、肉弾戦にも強いなんて、戦い方が変。
頭脳戦でヒリヒリさせても良かったのでは、と思ってしまう。
PC内部の電気信号の伝達演出も、既視感がありすぎて興醒めしてしまう。
マイケル監督には、ちょっと合わない題材だったかもしれない。
レジェンダリーのトーマス・タルもきっと残念だったと思う。
コメントする