「さてその時がもし突然起こったら、あなたならどうする?」フレンチアルプスで起きたこと 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
さてその時がもし突然起こったら、あなたならどうする?
人口雪崩のためのバアンという爆発音と、リフト滑車のガタンという乗上げ音と、ビバルディ「夏」のバイオリンが、不穏な予感を掻き立てる。
その効果もあって、随所随所で、軽く笑いが起こる。
雪崩のときにとった行動、そのあと何度も繰り返す叱責とはぐらかし、それが伝播した別のカップル、旦那の幼児返り、、。
観ている男は、こういう奴いるよ友達で(といいながら、それが自分だとは自覚がない)と思い、観ている女は、あたしの彼・旦那もそうよ(というセリフがどれだけ傷つけるのか気付かず)と思う。
たとえばアメリカでは、旦那が号泣して手に負えないシーンで爆笑が起こったらしい。
脳ミソが理性で形成されている女という生き物と、本能で形成されている男という生き物は、行動を起こす初期判断ですでに違うものなのだ。
ならばこれはコメディ?、いえいえ、全然笑えません。
なぜなら、僕の場合は自覚があるから、自分が責められているようで。
もちろん、家族を置いて逃亡した過去はないけど、自分がもしこの状況ならどうしてたか?と思うと寒気がする。
いやあ、俺ならこうするよああするよって言っても綺麗ごとに聞こえてしまうんじゃないかって。
自分はどうするんだろうって。
ラスト、バスの場面。
あれだけ旦那をネチネチ責め立てていた妻がとった行動が、周りの他人をも巻き添えにしてしまう事態に。あれを妻の軽率とみるか、危機回避の当然の判断とみるか。個人的には、残った友人の存在が象徴するように、妻を小馬鹿にしているように感じたがどうか。
コメントする