「フレンチアルプスで起きたよく分からないこと」フレンチアルプスで起きたこと 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
フレンチアルプスで起きたよく分からないこと
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』で2017年のカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いたスウェーデンのリューベン・オストルンド監督の2014年の作品。
かの作品は分かる人には分かる、分からない人には分からない何ともシュールな作品であったが、こちらは割りとすんなり話に入っていけた。
…が、それも前半くらいまで。
フランスのスキーリゾートでバカンスを楽しむあるスウェーデン家族。
夫はエリートで、奥さんは美人で、幼い姉弟も可愛くて、画に描いたようなアットホームな理想の家族。
屋外レストランでランチを取っていると、人為的に起こした雪崩が。
夫は「大丈夫大丈夫、平気平気」と呑気にしていたが、予想を超えてみるみる迫ってくる。
一転してパニックに。すると夫は妻と子供たちを守らずに、我先にと逃げてしまう。
大惨事や被害者も出なかったのだが…、
その後、明らかに家族の態度が一変。
冷たく、よそよそしく。
ホテルへ帰るシーンが印象的。無言で、この家族はこれから何処へ向かうのか…?
妻は何ともないと装うが、アメリカ人夫婦との会食の席で。
口論になる。私たちを置いて先に逃げ出した、いやそんな事してない…の水掛け論。
部屋に戻ると、子供たちもぐずり出す。
理想的で素敵で頼りがいのあった夫/父親像はいとも簡単に崩壊。
序盤の幸せ家族姿は何処へ…? 最悪のバカンスに…!
人の本性が明かされる事態に見舞われた、ある家族の危機。
その模様をブラックに。
未曾有の事態に襲われて平静を保てる人は少ない。パニックになって当然。
だから、この夫の行動も一人の人間としてはあり得ない事ではない。
でも、一家の大黒柱としては…。
守るべき存在があるのならば、自然とそう身体が動くのではないのか…?
それともやはり、我が身が恋しいのか…?
何ともモヤモヤ…。
妻の言及。ヒステリック。
自責の念に押し潰され、子供のように号泣する夫。
そこまでは良かったのだが…、
アメリカ人夫婦のエピソード。
夫の友人のエピソード。
それらが交錯し、いまいちよく分からんシーンや描写も増えていき、良くも悪くも後の『ザ・スクエア』のようなシュールな作風に。
終盤の展開も、夫が雪霧の中で迷子になった娘を助け、家族の絆再び…という事でいいのかな??
その後のバスでのエピソードもよく分からん…。
最初はテーマ的にも良かったんだけど…、
フレンチアルプスで起きたよく分からないことであった。