「愚かな母の悲しい結末」エレナの惑い 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)
愚かな母の悲しい結末
冒頭、冬の早朝の張りつめた空気の中、
鳥の声に混じって一発の銃声と
やがて遠くから救急車のサイレン。
カメラは裸木越しに、コンクリートのベランダから
生活感の乏しい高級マンションの室内に入って行く。
その一連の流れがこの映画の恐ろしさと
どうしようもない悲劇を感じさせる。
主人公のエレナは元看護師と言う設定なのに
其の息子の内面の崩壊の甚だしさはどうだろう。
看護師さんの息子がみんな立派だとは言わないけど
それなりに努力と献身が必要な仕事をしていた母の背中を
全く観ていなかったのか〜。
それとも、裕福な夫と再婚して10年、
エレナ自体が金の虜になってしまった結果の
息子の内部崩壊なのか〜
エレナの愚かさがやがては孫にまで伝播し
間もなく大学生になる孫が、ベランダから観ているのは
冒頭の銃声との関係を思わせる若者達の姿、そして
父と同じ内部崩壊を思わせるある行為。
更にはその兄弟の赤ちゃんの上にも
やがて悲劇を呼び寄せる事を案じさせて映画は終る。
何と言う救いの無い映画だろうか〜
貧困は連鎖すると言われるけど
貧困で完全に内部崩壊してしまった者にお金を渡したところで
そのお金で立ち直るどころか
更なる悲劇を呼び寄せるだけなのだなあ〜〜
貧困とお金の罪の重さをつくづく感じてしまった。
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