劇場公開日 2015年3月14日

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「ツいてないけど憑いている」ジェサベル 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ツいてないけど憑いている

2015年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

単純

事故に遭い、脚の怪我の療養とリハビリのために
生まれ故郷へ戻ってきた主人公ジェサベル。
そこで見つけたビデオテープには、彼女を生んだ際に
亡くなったという母からのメッセージが残されていた。
そのメッセージを聞いた事を機に、彼女は家の中で蠢く
謎の女性の影に脅かされる事になる……
というあらすじのホラー作。
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カーテンやらバスタブやらを使った恐怖演出は
スタンダードながらもキッチリ怖がらせてくれるし、
湿地帯での一連のシーンなどは、ショッキングな描写は
無いが、ジメジメとした雰囲気が不気味で良い。

何より主人公が肉体的なハンデを負っている点が
ホラーの設定としてうまく活かされていて、
家の中ですら自由が利かない、逃げられない、
満足に怪異の正体を探ることも出来ない、という
恐怖感や焦燥感の演出に一役も二役も買っている。

また、黒人差別が根強く残る南部が舞台という事で、
裕福な白人に雇われていた黒人メイド(70年代までは
根強く残っていたらしい)やブラックマジック信仰
などが関わってくる点も、オカルト好きには興味深い。
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主演は『プリデスティネーション』でのチャレンジングな
役を観てから自分の中で株価急上昇中のサラ・スヌーク。
本作では、幸せの絶頂からドン底に突き落とされた上、
怪我の為に車椅子でしか移動できないというこれまた難儀な役。
おまけに、今でも両想いの元恋人は結婚していて……
という、メロドラマみたいな切ない設定。
更に映画後半では……いやいや、どんだけ幸の薄い役なのさ。

彼女の出生にまつわる秘密、
ビデオテープ、父の激怒、牧師モーセ、
黒人達の敵意、岸辺で光るもの……すべての伏線が
回収されるまでは色々謎めいていて楽しめた。
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けれど、結局は予測通りの形で決着してしまうのが残念。
予告でビデオテープの正体に関わるセリフもあったし、
悪霊の目的については序盤でなんとなぁく予想が付いてしまう。

あの思わせ振りなビデオも怖いは怖いが、
ビデオを見なければ怪異が止まったのか?とか、
アレが目的ならそもそも回りくどい事せずに
最初からああすれば良かったんじゃね?とか、
なんか釈然としない部分も多い。
それに前述通り、主人公の扱いも随分ヒドい。
まさか脚本家もジェサベルに恨みでもあったのか……。
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まあ、自分が悪い訳でも無いのに、周囲の不始末で
不幸を被る主人公、という所がミソと言えばミソで、
人が抱く恨みの深さや、歴史に古くから根付いた
業の深さは感じられる。

物語にツッコミ所はあるが、怖がらせ方は及第点。
最後までミステリ要素に惹き付けられて観られたのも
確かなので、まあまあの3.0判定で。

まず続編は出なさそうだけど……
もしも『2』を作るなら、ジェサベルVS元カレの
奥様という湿地帯ばりのドロドロ対決になるのかしら。
……それもう別ジャンルの映画か。

<2015.03.14鑑賞>

浮遊きびなご