「衝撃の展開に開いた口が塞がらない。事前知識は無しで観た方がいい。」プリデスティネーション といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
衝撃の展開に開いた口が塞がらない。事前知識は無しで観た方がいい。
「タイムリープもの映画」を調べていた時に見つけ、結構評価が良かった本作。
内容に関する事前知識はほぼ無く、「タイムリープもの」という程度の認識で鑑賞いたしました。
結論、タイムリープ作品の面白さをこれでもかと詰め込んだ名作でした。
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過去と未来を行き来することができる時空捜査官(イーサン・ホーク)が、各地で発生する連続爆破犯を捕まえるために1970年に訪れる。バーテンダーとして身分を隠して働いていた彼のもとに訳アリの小説家であるジョン(サラ・スヌーク)が客としてやってきた。ジョンから、過去に出会った男によって人生が狂わされたという身の上話を聞かされたバーテンダーは、ジョンとともに過去へと渡り、男への復讐のチャンスを与えたのだった…。
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この映画、「タイムリープもの」という事前知識がある状態で観ていると少し驚かされます。映画冒頭に爆弾魔との格闘シーンがあったかと思いきや、時空捜査官である主人公はバーテンダーになっていて小説家の身の上話をしばらく聞かされます。多分上映時間の半分近く小説家の身の上話を聞くパートです。全然タイムリープしません。ひとしきり身の上話を聞いた後に、ようやくタイムリープマシンが登場し、過去に移動します。
映画観ていて何となくわかることですが、この映画のストーリーの肝は小説家の身の上話です。小説家が過去に経験したものの中に、自分が過去に行って干渉した事象もあるということですね。正直序盤の退屈な身の上話をしっかり聞いていないと後半の展開についていけないので注意が必要です。以前私がレビューした大泉洋主演の『アフタースクール』という映画と同じような「比較的動きも無くて退屈な前半パートをしっかり観ていないと後半の伏線回収が楽しめない」ってタイプの映画ですね。
原作小説の邦題が「輪廻の蛇」というそうです。多くの方が自分の尻尾に噛みつく蛇であるウロボロスを想起すると思いますが、映画の終盤でこのタイトルが回収されます。映画の劇中に何度か「卵が先か鶏が先か」という話が出てきますが、このセリフも結末を暗喩するものになっています。
この映画を観て実感したんですけど、伏線回収系やどんでん返し系の映画は「どんでん返し系ですよ!」っていう触れ込みで観てしまうと面白さ半減する気がします。少なくとも本作に関しては、映画の結末に繋がる重要なキーワードを比較的分かりやすく提示している映画ですので、伏線を探そうとして身構えてしまうと「これ台詞は伏線だな」と気付いてしまう構成になっていたため、ラストにある「衝撃の結末」「衝撃のどんでん返し」が中盤で分かってしまい、そこまで衝撃度は高くなかったように感じました。多分「どんでん返し系映画」という事前知識が無ければ気付かなかったと思うので、記憶を消してもう一度見直したい気持ちでいっぱいです。
衝撃の展開が楽しめるタイムリープ作品としては非常にレベルが高い作品だったと思います。オススメです!!