劇場公開日 2015年1月23日

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「その世界で生きるのも足を洗うのもタチャの勝負」タチャ 神の手 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5その世界で生きるのも足を洗うのもタチャの勝負

2020年5月7日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

知的

バクチにイカサマ…絶対に関わりたくない世界だが、映画として見るならば。
それも作品によりけりだが、こちら思ってた以上に面白かった。
韓国のシリーズ映画第2弾のようだが、どうやら前作と話の繋がりは無く、これはこれの単体ですんなり見れたのは有り難い。

まずタイトルの“タチャ”とは、賭博の達人やイカサマ師の事。
幼い頃から才能を開花させ、タチャとして稼ぐテギル。
が、時々大事な場面でヘマをする。
ある賭博場で働き、皆で女社長をカモにするのだが、その女社長と関係を持っていた為、バラしてしまい、賭博場や経営者もろとも大損。
再起を賭けてカモに出来そうな闇金業社長に挑むも、その場に初恋の人ミナが居て集中力を欠いてしまい、大敗。有り金全て失ってしまう…。
実はこれ、全て仕組まれていた事。
復讐を誓うテギルが偶然出会ったのは、同じくタチャであった叔父の元相棒、グァンリョル。
パッと見しがないが、音だけでカードのすり替えを聞き分け、瞬時に状況を把握しこちらのペースにし、常に相手の先を読む。超凄腕のタチャだった…!
テギルはグァンリョルに弟子入り。再び腕を上げ、闇金社長や伝説のタチャとの文字通り“命を賭けた”大バクチに挑む…!

勝負は、花札。残念ながら花札のルールは知らず、知ってたらもっと面白かったろうが、それでも充分ハラハラドキドキのスリルは伝わってくる。
こういう作品の醍醐味は、二転三転のストーリーや裏で誰が誰と繋がっているか。味方と思ってたのに裏切られたり、意外な人物同士手を組んでいたりと、話の展開含め飽きさせない。
クライマックスの命を賭けた勝負は本当に緊迫感溢れ、勝負の行方に目が離せない!
韓国アイドルグループのイケメンと韓国美女が主役なので恋愛要素もあるが、悪くないスパイスになっている。勿論両者、熱演。

周りが存在感たっぷりの面子揃い!
闇金社長は、『哭声/コクソン』『アシュラ』のクァク・ドウォン。
伝説のタチャは、『チェイサー』のキム・ユンソク。
この2人に狙われたら、一目散に逃げ出したくなる。
でも何と言っても、グァンリョル役の『タクシー運転手 約束は海を越えて』『1987、ある闘いの真実』のユ・ヘジン!
人間臭く、人情味たっぷり。
笑わせ、泣かせてくれる。
そして、この“先生”の教え。
遠い昔遥か彼方の銀河の騎士よろしく、復讐なんて考えるな。
足を洗え。
タチャとして生き、何度も修羅場に遭い、片手を失った。
誰よりもタチャとして生きているからこそ言える言葉。
それでいて、勝負の時は的確なアドバイス。
相手の先を読め。相手の目を見ろ。
時には負け札が勝つ事がある。
これが最後の最後、効いたね~!

自ら選んだタチャの世界と道。
その生きざまにはカッコよさも感じるのは感じる。
が、悪漢にやられたらやり返すのは漢のケジメとは言え、やはり相手をカモに騙して金をむしり取るのは、人の道に外れる行為。
全うに生きるのも、タチャとして挑む勝負の一つ。

近大