FOUJITAのレビュー・感想・評価
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制作意図が伝わらない
せりふが少なくて、まず意味がわからず話がわからず、無言のまま場面が突然変わり、またわからないが続く。
観てる側に不親切な映画?
藤田さんの何をかわかるのかと思ったけれど、何も残らなかった。
中谷さんのセリフで何度も仏日で結婚をしてる人というのはわかりました。
結構出演者いたようですが、記憶に残ってないような扱い
ラストに普段は撮影不可のチャペルフジタの中の映像が音楽と共に流れますが、それだけでよかった?というかそれでごまかしてる?
チャペルフジタ訪問がきっかけでみた私には収穫が何もありませんでした。
劇場内はいびきが聞こえてましたよ。
台詞も音楽もなく、集中力も切れます。
監督の自己満足的映画に思えます。
本当に何を伝えたくて作ったの?
「フーフー」と、キツネの贖罪
小栗康平監督がレオナール・フジタの映画を完成させた、と聴いて、ちょっと胸騒ぎがした。
「早く観にいきたい」という気持ちと、「もしかして……」という一抹の不安、相反する気持があったのだ。
僕は小栗康平監督の「埋もれ木」という作品を、名古屋のミニシアターで鑑賞した。2005年のことだったと思う。
そのあまりの抽象性に「さっぱり訳がわからん」とひどく落胆した、嫌な思い出があったのだ。
レオナール・フジタ(藤田嗣治)は映画の題材として、あまりに魅力的だ。
しかもフジタを演じるのは、オダギリジョーだという。
いやはや、この作品は魅力的すぎる!!
こんな美味しいニンジンをぶら下げられたら、もう映画好き、美術好きとしては劇場に向かって走る以外ないだろう。
しかしである。
もし、ここで、小栗監督お得意の抽象性で描かれたら、もう本作は、それこそ太平洋戦争末期の日本軍さながらに、映画興行として「玉砕」してしまうのだ。
そんな不安を抱えながら僕は劇場にいそいそと向かった。
上映が始まると、僕の不安は安堵に変わった。
小栗監督は所々でやはり、抽象性を挟みつつも、実に丁寧に抑制された演出で、淡々と藤田嗣治と女たち、そして彼が生きた時代を描いて見せるのである。
映画前半、エコール・ド・パリでの「フジタ」
彼の描く乳白色の裸婦像は、パリっ子たちにとって「東洋の神秘」
「誰も真似できない」として絶賛されまくる。
夜の街に繰り出せば、誰もが彼を「フーフー」という愛称で呼ぶ(ちなみに、これは「お調子者」という意味らしい)
彼はパリのアーティストたちの、まさに中心人物として担ぎ上げられる。
束の間の平和、日ごと、夜ごとの乱痴気騒ぎ。
「フジタ」はパリで最も有名な日本人として、時代の「波」に乗った。
芸術家たちにとって、なんと幸せな時期であっただろう。
しかし、すぐ暗黒の時代がやってくる。
映画の後半は、まさに作品をバッサリと真っ二つに切ったかのようだ。
舞台は戦時下の大日本帝国。
そこにはもう乱痴気騒ぎはない。
あるのは疎開先での質素な田舎暮らし。
そして軍から集落に強要される、定期的な「金属の供出」である。
フジタはフランス帰りの洋画の大家として、日本軍に迎えられる。
戦意高揚のため、戦争絵画を描くように軍から要請されるのだ。
彼は軍から請われるまま、アッツ島玉砕の大作を描く。
フジタは、その玉砕を美化した、日本軍の協力者として、戦後に激しいバッシングを受けることになる。彼は故郷ニッポンの地を二度と踏むことなく、スイスのアトリエでその一生を終える……
本作は彼の戦後については、あえて描いてはいない。
疎開先でのフジタは、ある日、知人からキツネに「化けかされる」話を聞いた。
「そんな迷信を……」とフジタは笑う。
しかし、残酷な戦争は、フジタ自身をキツネにしてしまったのかもしれない。
彼は日本軍から「少将待遇」という、とんでもない高い位を与えられる。
その象徴として、将軍が羽織る、マントをもらっていたのだ。
そのマントを羽織って、下駄を履いて、田舎の里山を散策するフジタ。
これがエコール・ド・パリで一斉を風靡した、同じ人間なのか……
化かされたのは誰か? 化かしたのはだれか?
滑稽なまでのマント姿のフジタ。
それを淡々と演じるオダギリジョー。
時代に弄ばれたフジタの姿はあまりに痛々しい。
なお、本作では描かれていないが、フジタは生涯の終わりに、教会の壁画を手がける。自身手がけたことのないフレスコ画への挑戦だった。
フランスに帰化し、カトリックの洗礼を受けたレオナール・フジタ。
自分が犯した罪と罰。
それをどう裁くのかは「神様」が決めてくれるだろう。
絵描きは絵描きとしての責任を全うすべきなのだ、という、フジタなりの決着のつけ方ではなかったか?
本作のエンドロールで映される、その小さな教会を眺めながら、僕はそんなふうに思った。
美術が素晴らしい
セット、大道具、小道具と美術が素晴らしい。それは、フランス編と日本編を問わずにどちらも素晴らしい。ともに時代の肌触りとでも言おうか、主人公が生きた時代に観客を誘うに充分な出来栄えだ。
とくに、蚤の市で主人公らが愛でる品々は、どこかの骨董品を持ってきたのか、それとも作ったのかは分からない。それでも、あの姉妹が手放した人形の家は、そうしたものがプラスチックで大量生産されたおもちゃを手にしていた世代の私には、あの小さな家の質感がうらやましくてならなかった。
主人公・藤田嗣治は、若い時にはパリで新進画家としてもてはやされ、帰国してからは戦争画の巨匠として陸軍の求めに応じて絵を描く。映画はそんな藤田の変節を非難するでもなく、まして、パリ時代の浮かれぶりを笑うでもない。
周囲がどう変わろうとも、淡々と絵を描く喜びを追い求める。パリでのばか騒ぎも、太平洋戦争も、藤田にとってはそこへ身を投ずれば投ずるほどに、人は所詮一人なのだという現実を知るだけだ。
芸術家の冷静な現実感とみるか、それとも求道者の狂気とみるかによって、ラストの不思議な世界の持つ意味が変わってこよう。
フーフー
小栗康平監督作。今時珍しいオールドファッションスタイル。時間がかかったどっしりとした美術、照明に、厳格なフレーミング。時代設定的に相当CGも関わっているのだろうが、使い方が斬新過ぎて違和感がない。スタイルはオールドファッションなのに、全体通すと見たことないフレッシュな映画に。特にラストの狐→大木の歪な想像力の生々しさったら、ドライヤーの《怒りの日》のラストの糸引く接吻のようにエロチック。静止した画面の中で、そこから逸脱しようとするイメージの洪水。日本映画というか、映画の現在の一つの到達点。素晴らしい。
美術品としての映画。
この監督の映画は全て、観ていますが、(全てリアルタイム、という訳ではありませんが・・・)「泥の河」を除いて、余り共感は持てませんでした。これでもかというくらいの独りよがりの作風についていけなかったのです。「死の棘」や「埋もれ木」は最悪でした。しかし、今回の作品は一つひとつの場面が腑に落ちました。悉く納得できるのです。全体的に暗い色調、クローズアップ、移動撮影を極力、排し、静けさすら湛えた画面。まさに映画の醍醐味を凝縮したような作りでした。特に終盤の心象風景を点描したような一連の映像は圧巻でした。戦争協力者として、戦後の日本で断罪されたフジタの心の叫びが惻々と伝わってくるようでした。
最後、一度、画面が暗転しても席を立たないでください。フジタの描いたフレスコ画がしばらく続きます。最後の最後、そこに何かが必ずや発見できる筈です。
なんじゃこりゃ?2時間返せよ!
竹橋の近代美術館で藤田嗣治展を鑑賞したこともあってか、観客無視の単なる映像それも年寄りには暗くて分かり難い、矢鱈とセピア色感を出そうとしているのかストーリーも難解だ。
唐突に画面が欧州から日本へ切り替わりなんじゃこりゃ!の感でした。
途中で退席しようとしたが列の真ん中故、我慢しながら寝てしまった。これじゃあ出演者の方々が可哀想に思えました。
見なきゃよかった
藤田の絵画が好きなのと、監督の「泥の河」と「死の棘」が好きだったので、公開初日に行った。満員。周りの年配の女性達が、楽しみですね~とウキウキお喋りしてた。映画が始まる。すぐに、嫌な予感。パリの場面は全てが書き割り状態で薄っぺら。帰国後の日本の場面は、西洋人受け狙い的な映像と思わせぶりのセリフのみ。時間を返して下さい。
上映前はウキウキと賑やかだった女性達も終演後は無言で映画館を後にした。途中で抜ければよかった。次の回待ちで並んでいる人達に、見ない方がいいですよ、と言いたい気持ちをおさえるのが大変でした。
ランス礼拝堂を見ることができたから、0点ではありませんでした。
絵が完璧
あくまでも個人的な好き嫌いでいうと、小栗康平の映画は面白くないと思っている。泥の河、死の棘、眠る男、いずれも単純に面白くない。それでも見てしまうのは、まわりの評価、世界的な評価からだけでしかないかなーと今更ながらに自覚しだしたのだが、今回のこの映画もその例外に漏れないだろう、きっと面白くないだろう、でも多分評価はされるかもしれないから見ておこう、という気持ちで、気合を込めて、臨んだ。
気合いが功をそうしたのか、いやいや監督の真の実力からであろう、非常に素晴らしい内容であった。涙とか、感動とか、笑いとか、そういったものとは無縁ではあるのだが、映し出される絵の全てが完璧であり、完璧に作りこんだ絵にしか見えないのに、その時代に身を任せているかのようなリアリティーを感じた。作品の中の意図とか趣旨、ストーリーなんてどうでもいい、ただ目の前の絵と音を鑑賞するだけで完結してしまうくらいの完璧さであった。
ただ、沖縄戦の映像を旧日本軍が上映していたシーンと、ラストのCG、その2ヵ所だけは納得しかねるものであった。そこがなければこれが今年の最高賞でもいいと思ったくらいだ。それくらい致命的なものだったと思う。
それにしても小栗康平にとって地球全てが巨大なセットのようなものになってしまったのだなー
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