「スタンドアロンであることの強度」攻殻機動隊 新劇場版 がっちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
スタンドアロンであることの強度
良く出来ている。TV版で放映されたシリーズの総括としても、作品の質としてもそれを上回っている。
この映画版の大きなテーマは攻殻機動隊の成立の物語だか、実際には、ゼロ歳児から国家と研究所に記憶も体も行動も、そして、成長の過程さえも管理されてきた草薙素子を中心としたスタンドアロンであること=単独性をいかに勝ち取るか、と言うテーマが変奏曲として描かれている。
多国籍企業が電脳経済の発展とともに益々巨大化し、国家の存立の危機の事態こそが草薙素子のチャンスである。巨大企業は、軍さえも民営化し、運営する立場となっている。劣勢状態の国家に対してチャンスを見出すのが、草薙素子率いる最高と独立したパーツたちである。戦争状態の中で、義体化を選んだものたちは、己の体の管理そのものを国家に預けたモノたちである。ほとんどのモノたちは、己の体の維持メンテさえもままならない。規格品に換装されたモノたちの運命として、古い規格となった時が人生の終わりなのである。
国際法で認められた法制度の舞台で、最優先の独立攻勢性の部隊であることを彼女たちの自由意思で選択する時スタンドアロンであることが、最も輝く瞬間である。桜の24時間監視シーンのコミカルな美しさはどうだろう。桜という古い文化コードを舞台に彼らか予算通過を待つストライキの中にこそ、クリティカルな危機をチャンスに変える彼らのスタンドアロンであることの強度が確認されているのだろう。
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