「移民の現実。」サンバ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
移民の現実。
「最強のふたり」メンバーが贈るコメディ、となっているが
かなり現実に即した描かれ方なので、辛辣で切ない。
移民の現実というとどこの国でもこうなんだろうなーと
思わせる部分が多い。ビザのうっかり失効で強制国外退去。
どんなに苦しく貧しくても笑顔を絶やさない主人公のサンバと、
やがて仲良くなるブラジル人を装うアルジェリア人ウィルソン。
かなり辛い現状でもカラッとした明るさをこの二人が醸し出す。
「最強の二人」のイメージが強いと、アレ?と思うかも知れない。
悪い描かれ方ではないが、それほど感動するという話ではない。
さらにはエッ?と思わせるラストの展開にも賛否が分かれそう。
サンバとアリスの恋愛面を中心(だと私は思った)に描きながら、
移民問題・金銭問題・精神問題・差別問題にググッと迫っている。
この題材を甘甘で終わらせないところが却って清々しいけれど、
面白さではどう判断されるかなぁーというストーリー。
O・シーは相変らず爽やかだけど、彼を差し置いて美味しい役を
かっさらっている相棒のT・ラヒム。こういうちゃらんぽらんな
奴って絶対いるんだけど!?でもどこか憎めない胡散臭い役を
まぁ楽しそうに最後まで演じている(コイツが一番イイ思いしてる)
サンバなんていいタイトルを付けたなーと思うけれど、
(サンバは踊らないが)B・マーリーの曲で歌い踊るシーンがある。
私的にここがいちばん感動した。
パリに住めたからといって幸せが満ち溢れているわけじゃない。
移民は真面目に働きそのほとんどを国の家族に送金している。
「いつか湖のほとりに全部揃った家を建てるんだ!」というのは、
別に移民でなくとも、親孝行なアイドルが励みにしそうな目標だ。
国が違えばこんな風に、子供に頼って暮らさざるを得ない一家に
なるんだ。と思うと、改めて政府の指針に文句つけることなく^^;
日々の節約なり預貯金なり老後設計なりをしっかり立てなくては。
(寝とられた知人が見せたもの。で、後の展開が見えちゃったよ)