デビルズ・ノットのレビュー・感想・評価
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魔女狩り?
猟奇殺人。人々の不安、かわいらしい子どもへの同情から、人々は生贄を欲しがる。
それは現代のマスコミ、SNSでの炎上をみても、簡単に再現されること。
なんであの証言でこの結論かなあと、映画を鑑賞している私達は冷静に判断できるが、次の被害者は自分や自分の大切な人かもしれないと思うと、早くに恐怖の対象を取り除きたくなり、誰かをつるしあげることで安心を得ようとする。
また、周りの人と違う意見を表明する勇気。へたに表明すると表明したものが魔女に仕立て上げられる恐怖。
いじめの歯止めがかからなくなるのと同じ。
悪魔崇拝。
日本だとピンとこないけど…。
発見された、さらわれた子どもの遺体から内臓が抜き取られていたというニュースを悪魔崇拝に関連付けた記事が新聞に”よく”載る南米。南米で暮らしていた時、「隣の子どもが生贄に…」と真剣な面持ちで語った同僚。
ネットで見ただけだけど、アルビノを生贄の為に襲ったというニュース。
『ミレニアム』という映画にも出てきたっけ。
物語の世界だけだと思っていた悪魔への生贄。現実のものかもしれないと言う恐怖。
お互いの不信感・漠然とした不安。誰でもいい、対象を特定させて排除して安心したい。その一途な想い。そこだけをみると、強くない人々の、善良なる想いなのに、なぜこうなる。
「誰が犯人か」
実話ベースだけあって、そこはすっきりしない。ミステリーとして観ると評価は下がる。
普通の人がもっている人間のエゴ・闇を描き出した作品として秀逸。
良くわからないけど、USAでは再審制度ってないのかなあ?それとも貧困層の子どもたちだから、親も動かなくて、お金もなくて再審請求しなかったのかなあ?
そんな貧困はこの日本ではあってはならない、このような捜査・裁判はしてはならないと決意したい。
デハーン氏目当てで鑑賞。
怪しいような、怪しくなさそうな、そんな演技は、出番が少なくとも印象に残る。けれど、もっと物語をかき回してくれてもと期待がアップして。否、これは実話ベースだから、ここだけを膨らませるわけにもいかないし。
あのシーンだけで、怪しさ/怪しくない雰囲気をあれだけ出せるのはデハーン氏ならではと思う反面、何もデハーン氏使わなくともと、デハーン氏の演技力が生かされていない感じが勿体ない。
散乱する話を上手くまとめています
モヤモヤする人が多いでしょうが、実話だから仕方ない。
色々な人が交錯する少しややこしい話ですが、アメリカでは有名な事件なので、アメリカ人は経緯や結末を知っていて観る作品です。しかし、予備知識ナシの人が観てもちゃんとついていけるような簡潔な脚本と堅実な演出でした。
しかし、アメリカっていう国は「疑わしきは罰する」んですね。陪審員制度の弱点でしょう。
真実は闇の中
悪魔崇拝者=オカルト殺人者と決めつける世論。ヘビメタが好きだって黒い衣服が好きだっていいじゃないか!冤罪はこうした偏見から成り立ち、自白の強要からでっち上げられるのが世の常だ。日本ではあまり見かけないオカルト殺人。キリスト教国家ではこうした魔女裁判が根強いということを痛感。
一人は知的障害を持った16歳の若者。残り二人のダミアン、ジェイソンは無実だと言い張るものの、裁判も強引に押し切られた形となった。どうしてまたダミアンとジェイソンなんだ?!ホラー映画を想像してしまう、観客をもミスリードするネーミングなのか。
猟奇殺人の内容よりも、魔女裁判のごとき進む裁判の方が怖かった。最初にビデオテープに証言したマーロン少年も何かにとりつかれたのような淡々とした表情だったし、証言台に立った少女も無表情。町ぐるみで少年たちの復讐のための儀式を行ってるかのようだった。不思議と印象に残ってるのが、性犯罪絡みだったので被疑者が陰部まで警察に撮影されてたことかな・・・
悪魔のような間違いと偏見
人は間違いを犯す動物だ。
でも、絶対に間違いを犯してはいけない事がある。
他人を傷付ける事、殺める事。
間違った相手に罪を着せる事…。
1993年、アーカンソー州ウェスト・メンフィスで、3人の男児が行方不明となり、惨殺死体となって発見された。
不安と恐怖に包まれる町。遺族の悲痛…。
警察は他の件を後回しにしてでも、事件解決を誓う。
警察の言動には称賛を贈りたい。
やがてその甲斐あって、3名の犯人を捕まえる。
が、これが大いなる間違いであった…。
アメリカ史上最悪の冤罪事件と言われる“ウェスト・メンフィス3”の映画化。
何故こんな間違いが起きたのか。
それは、警察のずさんな捜査と、“モラル・パニック”が原因であった…。
犯人として逮捕されたのは、3人のティーンエイジャー。
疑われた一番の理由は、3人共、ヘヴィメタ好きで悪魔崇拝者だったから。
ただ、それだけ。
何たる偏見!
確かにちょっと変わってるかもしれない。
でも、あくまでそれは趣味/嗜好であって、それだけの理由で罪を犯す決定的な理由にはならない。
日本でも昔、似た偏見があった。
女児が殺され、男が逮捕された。この時逮捕された男は間違いなく犯人であったが、その男がアニメオタク。それ以降、アニメ好きやオタクはアブナイ奴らという偏見…。
全員がそうとは限らない!
他に犯人が居るかもしれない証拠の紛失、関係無い者の証言…。
警察のずさんな捜査が明らかになっても、覆る事は無かった。
犯人を見付けるというより、犯人を誰にするか。
そう決めていたようだ。警察も、検察も、町中も…。
一応表向きは、ティーンエイジャー3人の犯行。
つまり、真相は謎。未解決。
町ぐるみで間違った犯人を糾弾してる中、本当の犯人を逃がしてしまった。
その大いなる間違いと共に、3人のティーンエイジャーのちょうど青春真っ只中だった失われた時は取り返せない。
悪魔に絡めて言うならば、
間違いや偏見、それらこそ悪魔的なものに他ならない。
じわじわとくる恐怖
「スイート・ヒア・アフター」に続き、アトム・エゴヤンの映画は2作目。
未解決事件を扱っているので、勿論事件は解決しないのだが、町全体を覆う不穏な空気、何か起きそうな緊張感がずっと続き、怖い。
殺された子どもの母親役にリース・ウィザースプーン。
最初は起訴された3人が犯人だと盲信していたが、冤罪の可能性を感じ事件を調査する弁護士と話すうちに、いつしか違和感を持つ。
誰しも身近な人を疑ったりはしたくない。
若者たちの、分かりやすすぎる反抗的な態度をそのまま信じてしまうのは、むしろそうであって欲しいという心の表れ。そして憎しみをぶつける相手として相応しいと思える相手ほど、悲しみは癒える。そういった同調圧力が真実を覆い隠す。
真実は他にあるのではと、彼女が思い至る時点で映画は終わる。
はっきりいって、すっきりはしない。
だが彼女が事件を見つめ直す意志を持ってくれたことに、少し救われる。
若者文化への無理解と保守的な信仰心からくる無理解、こういった杜撰な捜査による冤罪がなくなりますようにと、願わずにはいられない。
実際にあった、今も関係者ががっつり生きてる冤罪モノ。アトムエゴヤン...
実際にあった、今も関係者ががっつり生きてる冤罪モノ。アトムエゴヤンのチョイスはすごいなー。そして撮り方も渋いなー。人気者のコリンファースを使いつつもブレない。
冤罪はいっぱいあっただろうし、これからもまだまだ無くならないのだろうけど、せめて過去の過ちを認めていってほしいものです。
納得が
実際にあった事件!
3人の男の子が無残に殺され遺棄された事件
手足を靴紐で縛られ池に遺棄された
でも捜査もずさん
そして冤罪‥
最後は気持ちモヤモヤしたままで終わってしまった
実際自分の子供があんな形で殺されたら
と思うと胸が痛い映画でした
冤罪、それこそが悪魔の所業
疑わしきは被告人の利益に。
こんな簡単なことが守られない司法というものがあるのだ。海外だけによらず、日本の痴漢冤罪などを描いた、それでも僕はやってない、も同様である。
明らかに、組織としての怠慢なのだが、地域の人間の多数派が納得するような人を犯人に仕立てれば良いという、便所のネズミの糞にも匹敵する発想で、こうした冤罪が起きるのだ。これこそ正に、悪魔の所業と言って間違いない。
この地域はかなりの熱狂的信仰者が多い地域で、はみ出し者を忌み嫌う排他性のある地域。彼らは、神を信じると言いながらも、その神は実際は悪魔の顔をしているのだ。誰かのせいにして、自分の罪をなすりつけ生きる。これが、悪でなくてなんだろうか。
それを訴えかける映画である。
ちなみに、事件の結末は不明のまま終わる。冤罪とは言わないまでも、明らかに物的証拠も、不利となる証拠の抹消もあり、冤罪の可能性が極めて高い、というのが、この映画の立場だ。
自分の目で見ることを忘れてはいけない
こういうことが起こること自体が怖くて仕方ない
弱い者を力のある者が制してる感じが凄く嫌で憎らしい
何が真実かは定かではないから、何も言えないが、大衆の怖さとか警察の適当さが明らかになった映画
ミニレビュー
今もそんなに変わらないかもだが、昔のアメリカは本当に酷いな。日本もまあいろいろあるのだけど…
裁判長も警察も本当にふざけんなって思う。同情だけの奴らも。
エンタメ性なんていらないでしょう。
とにかく胸糞悪い事件だな。
未解決の実話がベースだんだね
どうりで肝心の結末が無い。。
警察のずさんな捜査、近隣の人々の偏見、引き込まれる様に見てたから突然終わった感じ。それが事実だから仕方ないけれど後味が悪い。
見終わった後ウィキペディアを見たら、映画の内容そのままが書いてあった。。。
冤罪はこうして起こる。
アトム・エゴヤンの映画にはある種の先入観をもっていた。
日本人にはなかなか理解できない映画を撮る人だと思っていた。
が、一転、本作はミステリーである。
実際にあった事件が題材になっていて、アメリカでは有名な冤罪事件となっている。
エゴヤンの視点も、冤罪であるというスタンスである。
悪魔崇拝を追放するのが目的だったと思われるが、判事までもがそれに協力している感ありである。
だが、捜査はきわめて杜撰、物的証拠はまったくないのに、彼らは有罪判決を受ける。
日本でも冤罪事件には枚挙にいとまはないが、日本の場合は、見込み捜査があったとしても、いろんな予断があったとしても、警察は容疑者が真犯人と思っていたと信じたい。ま、そんなわけないか。
ことの顛末は、ラストにテロップで示されるが、果たして無実の罪は晴れるのか。
容疑者だらけ。
実際の事件が元にあるので、映画というよりその事件に関してのドキュメント…という印象でした。
それにしても、誰もかれも容疑者に見えてきてゾワゾワしました。
未だ犯人が不明のままとの事ですが、きっと昔はこういった冤罪の事件は多かったんだろうなと思います。
ダミアン役のジェームズ・ハムリックが、個人的に素晴らしかった。
あの独特な雰囲気とカリスマ性、特に目が美しかった。
事件ルポタージュの再現ドラマ
新潮45の「殺人者はそこにいる」のシリーズと同じような、実在事件のルポタージュ的作品。
事件発覚から判決までを再現映像化。
ただひたすら、ぞっとする。
法律上の犯人は確定しているにもかかわらず、未解決事件扱いされているのはそういうことかと。
社会からはじかれるとは、こういうことなのかと。
すっきりしたオチはつかない。
なぜなら、関係者は、今日、今でも真相を追っているから。
正しい顛末を知っているのは、真犯人だけだ。
「実話に基づく」というのは普段一切考慮しない、それどころか、実話通りにしようとして無駄なシーンが入っていたり、結末がすっきりしないとマイナス評価するんだけど、本作においては許されるというか、だからこその恐ろしさがある。
非常に人を選ぶ作品なので星3.5。だだし個人的心証は4~4.5。
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