劇場公開日 2014年9月27日

「徒労感」風邪(ふうじゃ) 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0徒労感

2014年9月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

興奮

「大山鳴動して鼠一匹」という言葉があるが、本作品の結末を観ると、今までの争奪戦は何だったのか、単なる空騒ぎではないかと思えてしまう。
この映画は、世界に200種以上あると言われている全ての風邪ウイルスを撲滅できる特効薬「風邪ワクチン」を巡る壮絶な利権争いを描く。
主演の小西真奈美さん演じる桜子は、病に冒され闘病生活中の子供を持つ母親、そしてスナックのママ、更には秘密の顔を持つという複雑なキャラクター。
世界を揺るがす大発明のワクチンを開発しながら、今では流浪のアルバイト生活を送る天才科学者・紀久生を窪塚洋介さんが演じている。
そしてこのワクチンと紀久生を追う様々な人々、柄本明さん演じる医師・一ノ瀬、クリス・ペプラーさん演じる秘密組織の幹部・道元、和田哲史さん演じる道元の右腕・寺子田。
彼らは「風邪ワクチン」の技術を手に入れようと、手段を選ばない争奪戦を繰り広げる。
また本作品には秋吉久美子さんが出演していたり、主題歌を八代亜紀さんが歌っていたり、「アキラ」、「スケバン刑事」等、数々の作品を手掛けてきた橋本以蔵さんが監督・脚本を担当していたりと、キャスト、スタッフ共実力派の豪華ラインナップ。
それなのに何故かパッとしない。
「エボラ出血熱」、「テング熱」がニュースで騒がれている昨今なので、とてもタイムリーな作品なのだが、映画で繰り広げられている展開や設定が現実離れしていて共感出来ない。
そして登場人物の殆どが腹に一物を抱えていて、作品に邪な風が吹き荒れる。
風が吹き荒れた後に何か残れば良いのだが、あるのは徒労感と後味の悪さばかりだ。

玉川上水の亀