「ジョンメイがいれば生きていける」おみおくりの作法 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョンメイがいれば生きていける
孤独死。監督が日本のニュースでこの言葉を知って、感銘して制作された映画。監督ご自身が”孤独死”の予備軍だそうだ。
メイのコレクションの孤独死した人々の写真。本当に孤独死された方々のものだそうだ。
(新聞インタビューから)
自分のことを誰が理解しようとしてくれているのだろう?時折、叫びだしたくなるような思いに駆られる。
それは、たくさんの人に、家族に囲まれていようと、時折心の中をよぎる思い。
せめて、ジョンメイのように、理解しようとしてくれる人がいればと涙が頬を伝う。
そして、まさか、それはないだろうという展開。
人のためにと心を砕くことに疲れた心に衝撃の展開。
それでも、そこからまた思わぬ展開のラストに、こんなことがあるのなら、もう少し人のために頑張ってもいいかなと背中を押してくれる。
映像の一つ一つが、額に入れて飾りたいほど、魅力的。
ビリーを追っていく中で、少しずつ今までやらなかったことに踏み出すメイ。
色使いも、カメラワークも、ある時点を境に変わっていく。
丁寧に計算し尽くされた映画。
そして、エディ氏の虜になる。電話の応答の一人芝居。抑えた演技の中の情緒の豊かさ。笑わせようとしていないのに、その佇まいにくすっとくる絶妙な演技。目が離せなくなる。
静物画のような淡々とした映画。
だのに、みぞおちをえぐられる。
心の宝物にしたくなるような映画。
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