恋のエチュードのレビュー・感想・評価
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ちよっと残念な映画
お硬い英国人姉妹を両方モノにした男の思い出話なんてどうだってよい、…と、突き離したくなりつつも最後まで見た。単なる好奇心と、フランス人からみた英国風という視点がそれなりに興味深かったから…。しかしその英国らしさものが、これでもかと繰り返され誇張され、制作側からするとここは釣りポイントなのだろうが、鬱陶しく安っぽくも感じる。
またウェールズでは貞操な雰囲気を醸していたアンが、フランスに来ると急に自由を謳歌する緩い娘に変化してしまうのはどうか。その変わりぶりを男は楽しめとでも言いたいのだろうが、わたしには軽さが気になる。
さらに最後の妹との一夜の場面。安っぽいAVでもみているかのような気分にさせられる。特にシーツ云々のくだりで評価が決定的にダウン。
ナレーションはなかなか面白いが、そのややお茶目で機知に富んだ感じが、英国娘のピュアな涙とちょっとミスマッチな印象で、かえって両方ゆっくり楽しめなかった感。
好奇心をそそる映画という意図が前面に出てちょっと。この映画、当時、不評だったらしい。わかるような気がする…。
恋に練習曲はありません
女性一人に男性二人の三角関係はフランス映画の定番だけど、今回は男性一人が女性二人の間で優柔不断に揺れ動くときたら、トリュフォー名物アントワーヌ・ドワネルの出番!と思ったら、二人の女性は姉妹でイギリス人と言う楽譜では、もはや練習曲なんてレベルではありません。この難曲と言うか難局を、さすがにトリュフォー監督は見事に捌いていて、数年にわたるフランス人青年とイギリス人姉妹の恋とも愛とも愛欲ともつかない、複雑な心境の変化を実に丁寧に描いています。イギリスの海辺に立つ邸宅の風景や姉妹の衣装デザインなども美しく、細部にまで神経が行き届いてます。エピローグで、過去の恋に囚われた男の惨めさをバッサリ切り捨てる幕切れもいい感じです。役者では、ジャン=ピエール・レオーが、繊細でいながらどこか傲慢な青年役を好演。姉妹の妹役のステイシー・テンデターもクールでいながら恋に狂う女性を見事に演じてました。
いかにもフランス映画らしい作品。秀作。
私が高校生の頃(つまり50年ほど前)、この映画のテレビCMが流れていたことを覚えている。まだ、映画CMが珍しかった。だから、記憶していたかもしれない。
その時、この映画を観てたとしても理解出来ないだろう。それなりの人生経験を積み、今なら理解できる。恋の不思議さ、人生の不思議さを。相手を想えば想うほど、相手は逃げてゆく。追っかけこの、なんと阿呆らしいこと。当人には悲劇だが、傍の人間には喜劇である。
トリフォーファンなら、ドワネルシリーズは全作品観ないといけないだろう。学校に通っているので、残念だけど諦めざるを得ない。
成就しない遠距離恋愛の貴女に
終盤のアンの告白、ミュリエルとの再会からの盛り上がりは物凄いものがあり、それまでの冗長さを払拭して目の覚めるような集中力を見せる
しかしそれに達するまでがあまりに起伏に乏しく苦痛だ
公開時に短縮化されてしまうのもむべない
だが、その分完全版においては撮影のネストール・アルメンドロスの美しい映像をたっぷり堪能することができるので我慢しよう
遠距離恋愛は夏の花火のように簡単に燃え上がり、鎖の切れた猛犬のように恋に突進させてしまう
経験者の貴女はそれを知っているはずだ
また実らないことも多いことも
本作はそんな貴女の心を掻き乱さずにはいないだろう
せっかく深い眠りについていたはずの熱い想いがまた起き上がるのを感じるはず
クロードはカレーの港で何時間も彼女を待ったのだろう
情熱はそんなことを彼に少しも気にさせなかっただろう
そしてミュリエルもまた彼が迎えに来ている姿を探していたのだ
彼女は彼に初めから抱かれにきたのだ
精神的なピュアな想いだけで人は完結できない
肉体的な欲求もまた恋愛の大きなピースであるのだ
それが得られない限り愛は決して完結しえない
貴女は完結できたのですか?
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