「上がらないけど良い話。」ANNIE アニー 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
上がらないけど良い話。
「ANNIE 字幕版」見ました。
となりが男子高校生4人組という最悪のピッチコンディション。が、面白い。感動した。泣く手前。82年の映画も見てないし、どんな話かも知らずに鑑賞。
しっかり者で明るいアニーと、どこか間抜けでクズな大人たちの心の交流的な話。まず大人たちが漏れなくクソ野郎って所が面白いし、そんなクソ共がアニーに感化されてまともな人間になろうとのたうち回る。そういうストーリーが真新しいワケではないが、アニー役の娘の演技説得力が凄まじい。ウーピー・ゴールドバーグもウカウカしてられないぞ。既視感満載の”かわいい”ジェイミー・フォックスもハマってて、彼らの軽妙なやり取りは見ていて気持ちがいい。ただ、キャメロン・ディアスがあの役をやるには綺麗すぎるし、何よりも大物すぎる。浮いていたのは間違いない。あと運転手ナッシュの彼がドラマ「LOST」のMr.エコーだったのには驚いた。元気そうで何よりだ。彼がMr.エコーだからではないが、なかなかいいキャラでした。アニーと彼とのやり取りは常に安心して見ていられるし、大人の中では唯一まともな彼だけに、アニーと心が通うのが早い点も頷ける。好きです。
ミュージカルという特異な性質だからなのか、ストーリー自体は無茶のない丁寧な作りになってるんじゃないですか。何気ないやり取りが、後々サラリと説明される気の利いたサプライズもあったし。冒頭の教室の場面で、主人公が原稿を持たずに云々の下りも、なぜ彼女が原稿を持たずに踊ったのかが後々分かる。冒頭なだけあって、ただ歌って踊りたいだけの女だと思ってました。感心。問題は歌です。序盤の部屋大掃除や、ジェイミーフォックス亭での屋上とかのノリは最高だったけど、それ以降が...。tomorrowはもちろんテンション上がるんだけど、ノリが足りない。tomorrowだけじゃなくて、全ての歌に楽しさと明るさが物足りない気がした。岡本真夜のtomorrowが聞きたいのに、Mr.ChildrenのTomorrow never knowsを聞かされた時に有りがちな感覚。キレのある踊りも少ないかな。川くんだりで市長候補がアニーを救出し、直後に2人で歌う時も最初周りのみんなは突っ立ってるだけだからね。寂しいから適当に動いてよ。ラストのオールキャストの〆もあっさりしてませんか?もっとギャーギャーやってもいい気が...。唯一、やっぱりジェイミー・フォックスの歌が上手すぎてウットリ。すごいよジェイミーさん。
以上の通り、言いたいことが無いわけではないんですけど、楽しくて可愛くて心温まるのは間違いない。現代風リメイクという触れ込みですし、見るなら今しかないと思います。それも生で劇場で!