「大人の映画」6才のボクが、大人になるまで。 yanpakenさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の映画
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子供の成長を描いているように見えて、実際はもう中年から老年にさしかかろうかという監督の心情を吐露している私小説的な感じが強い映画だ。子供だけではなく、大人もちゃんと年をとるところがすごくリアル。子供が成長するのは当たり前だが、大人が老けていくのはやはり残酷としかいいようがない。
子供に夢を託しているというより、単にうらやんでいるだけだ。「コンドーム持って行け」と言いつつ、大人は結婚を繰り返し、平気で子供を産む。大人の醜さは子供の純粋さによって際立つ。子供ではなく、大人を描きたかったはずだ。
少年時代へのあこがれ、郷愁。成長ではなく、老化。
最後のシーンは少年期を葬るための儀式のようなシーンに思える。まさにラストシーン。偶然同室となった男性の雄叫びが、偶然恋人となるはずの女性の肉感的な微笑と呼応して、ハッピーエンドではない不気味さを残す。終わりの始まりのような結末。
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