カナディアン・エクスプレスのレビュー・感想・評価
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トンデモ映画、内容以前に編集がおそまつ
当時、クリント・イーストウッド主演の「ピンクキャデラック」と併映で、劇場に見に行って、かなりがっかりした記憶があります。
例えば、ヒロインと二人車で逃げるシーンで、やむを得ず山道を飛び出し、原生林に突っ込むシーン。車は木に当たったり、銃で撃たれたりして、徐々に壊れていきますが、別ショットで、次のシーンでは元のきれいな車に戻っています。で、そのまま逃走シーンは続き、車内のカットに戻った時には、フロントガラスがぐちゃぐちゃに壊れています。
見ていた観客は全員が失笑しました。
サスペンスドラマにしては、ジーン・ハックマンが年を取り過ぎていて、ヒロインとややこしい仲になるのが説得力なさすぎるし、少なくとも、監督は編集に立ち会ったはず。細部にこだわらないにしても、うっかり編集や、テキトーなカメラワークには、監督の映画愛を感じませんでした。
2017.7.6
余裕なし、まさに袋の鼠
雄大なロッキー山脈を疾走する観光列車が舞台のサスペンス、まるで007のアバンタイトルに出てくるようなシチュエーション、袋の鼠のような気の揉ませ方も列車の屋根のアクションも古典的で映画の教科書にのせても良いくらいオーソドックスです。
それもその筈、本作は1952年製作の「The Narrow Margin」(当時は日本未公開)のリメイクです、今は無きアカデミー原案賞(アールフェルトン)に輝くフィルムノワールの傑作とされています。本作の脚本・監督のピーター・ハイアムズさんは深夜TVで観てリメイクを思い立ったようです(原題はNarrow MarginでTheが無いのはリメイクだからでしょうか?)。
昔はシカゴからロスへの蒸気機関車でしたが景観と外界との途絶感を出す為にカナディアンエキスプレスに置き換えました、もちろんヘリでの襲撃など豪華に盛っています。ヒロインも単に怯えるだけの中年女性、警護も年配の検事補とやや心もとない設定、それでもジーンハックマンなのでやるときはやってくれますがオリジナル程のひねりやノワール感はありません。
製作は今は無きカロルコ・ピクチャーズ、「ランボー」や「ターミネーター」など数々の名作を生み出した独立系プロダクションで配給権を担保に銀行融資で映画を創るといったビジネスモデルで一世を風靡しました。それもあってか珍しいほど雑味が無いサスペンスに仕上がっていますが若い人には単純明解過ぎて物足りないかも知れませんね。
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