「戦争は残酷なもの」野火 コバヤシさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争は残酷なもの
戦後80年、世界は戦禍が止まない。
そんな中でこの映画を観るのは、観ることに意味がある。
編集とカットがよく練られていて飽きない。緊張感があるカメラ。俳優陣もなかなか良かったんではないか。脚本もわざとらしさはなく、独り言を始め、不自然な点は少なかった。ただ、軍の上官が、あんな話し方するかな的なとこらはいくつかあった。
映画は、映像自体にどこまで任せることができるかだと思うが、その辺のバランスはよく保てたと思う。この映画はそういう意味では、映像の強い映画である。
まぁしかし、撮影はフィリピンや沖縄で行われたそうだが、撮影自体が大変だったろうなというシーンがいくつもある。自然は美しい。その中のみすぼらしい様の日本兵。馬鹿げた時代もあったものだと思わざるを得ない。
人肉を食べるところまでの極限状態というのが一つのテーマだし、それに対する人間の尊厳もまた対比的に浮かび上がるテーマなのだが、その辺もかなり追求されていて、わかりやすい。
(その前に野犬を食べて仕舞えばいいのに、と思うが)
追記。リリー・フランキーの、信用できなさ加減が、彼らしい演技で良かった。
コメントする