「人狼ゲームシリーズで1番のお気に入り」人狼ゲーム ビーストサイド rainさんの映画レビュー(感想・評価)
人狼ゲームシリーズで1番のお気に入り
まだ2016年までしか観てないのだが、シリーズを通して最もキャラが濃くて良いのではと思います。特に美海ちゃんと由香と麗子。
ビーストサイドということで、私たち的には、由香たちがいかに人狼だとバレずに村人を殺していくかという視点で見ていきましたが、ラストは圧巻でした。人狼ゲームは、自分が人狼だった場合、終盤になればなるほど苦しくなる。嘘に嘘を重ねたために矛盾が生じ、ごまかしきれなくなるから。由香も例に漏れず。あの手この手でなんとか自分を村人側だと信じ込ませようとするが、やはり限界はくる。しかし、ずっと前から、美海はそれをわかっていたわけです。わかった上で、彼女の生き様とか価値観に、どうしようもなく惹かれたわけです。
由香はどうだろうかと考えてみる。もしかしたら終盤、苦しくなって自分は3回目だとカミングアウトしたとき、それすらも計算済みだったかもしれない。事実、彼女が序盤に積極的に美海に話しかけ、少しずつ美海の心を開いていったのは、計算でしょう。そう考えると恐ろしいのですが、カミングアウトは、いや、そうではないと、個人的には信じたいものです。美海と由香は、たしかにあのとき、人狼ゲーム以上のもので繋がっていたと思います。
さらに、最後の投票後、美海が何も言わずに死にますよね。実はあそこも好きです。ふつう、こういうときって、死に際に何か語るじゃないですか。私の分も生きてとかね。それさえないのは現実味を増すためか、由香の絶望をさらに増幅させるためか…。意図はよくわからなかったのですが、死を変に美化していなくて良いと思った。
あと、良いなと思ったのは麗子が死ぬときですね。演じてる人が誰かわからないけど、演技力に圧倒されました。絶望とか怒りとか悲しみとか、すべてを背負った顔。しかしなおも、由香に抗うことを求めました。この地獄から這い上がって見せろと、目がそう語ってました。すごいね。
あと個人的に好きだった点
・誰か忘れたが、吊られたときに「クラスメイトに会いに行ってきます!」って言った子。友達のことが大好きで、毎日楽しかったんだろうなと。ふざけた感じがいかにも高校生ぽかった。
・麗子が最期、「お母さん!」と叫びましたよね。きっと彼女も、両親に大切に育てられた子なんだなというのが伝わってきた。
こんな場面に遭遇することなんてないだろうが、この2つはリアルだなと感心してしまいました。
まとまりのない長文になってしまいましたが、多少の矛盾に目を瞑れるぐらいには面白かったです。由香は人狼ゲーム主催者を潰してくれると信じています。なにせ、クレイジーなロケンローラーなので。