アメリカン・ニューシネマ 反逆と再生のハリウッド史のレビュー・感想・評価
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芸術的多様性とは・・・
1955年に20億人だった米国内映画館入場者数は60年には10億人に減少、テレビの影響やベトナム反戦運動に喚起された若者たちのカウンター・カルチャーの高まりもあって映画作りも路線変更を余儀なくされニューシネマと呼ばれるムーブメントが巻き起こったのであるが、本作はその60~70年代のニューシネマの旗手、監督や俳優たちへのインタビューを通じ世相と映画の変遷を綴ったドキュメント。
コッポラやスコセッシらを輩出したB級映画の帝王ロジャー・ウィリアム・コーマンが果たした役割も大きい。
登場する主な作品は
俺たちに明日はない(1967)監督アーサー・ペン、出演ウォーレン・ベイティ、フェイ・ダナウェイ
卒業(1967)監督マイク・ニコルズ、出演ダスティン・ホフマン
イージー・ライダー(1969)監督デニス・ホッパー、出演ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー
真夜中のカーボーイ(1969)監督ジョン・シュレシンジャー、出演ジョン・ヴォイト、ダスティン・ホフマン
マッシュ(1970)監督ロバート・アルトマン、出演ドナルド・サザーランド
フレンチ・コネクション(1971)監督ウィリアム・フリードキン、出演ジーン・ハックマン、ロイ・シャイダー
ゴッドファーザー(1972)監督フランシス・コッポラ、出演 マーロン・ブランド、アル・パチーノ
チャイナタウン(1974)監督ロマン・ポランスキー、出演ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ
エクソシスト(1974)監督ウィリアム・フリードキン、出演エレン・バースティン
こわれゆく女(1975)監督ジョン・カサベテス、出演ジーナ・ローランズ
カッコーの巣の上で(1975)監督ミロス・フォアマン、出演ジャック・ニコルソン
狼たちの午後(1975)監督 シドニー・ルメット、出演アル・パチーノ
タクシードライバー(1976)監督マーティン・スコセッシ、出演ロバート・デ・ニーロ
・・・・・・・・・・・・・・・・・ほか・・・・・・・・・・・・・・・・・・
67年12/8付TIME誌は「ハリウッド:映画における自由の衝撃」というニューシネマの暴力や性描写を取り上げた特集記事を載せている。カウンターカルチャーの旋風によりアメリカのヘイズ・コードと呼ばれた厳格な倫理規定は有名無実化、廃止に至った。そんな刹那的で殺漠化した流れも終焉、ブロックバスター映画と称される「ジョーズ(1975)」や「スターウォーズ(1977)」の大ヒットにより健全な娯楽性が見直されるのだった。以上、サブタイトルの反逆と再生のハリウッド史ということでしょう。
錚々たる映画人の生の声が聴けるので貴重といえば貴重なのでしょうがパンフレットやDVD特典で付いてくるメイキングの裏話を集めたようなもの、時代背景が作品に影を落としたり輝きを与えるのは当たり前、映画鑑賞の予備知識として必ずしも求められる訳では無いので興味のある方がご覧になれば良いでしょう。
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