誰よりも狙われた男のレビュー・感想・評価
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なぜドイツ語じゃないんだろう?
諜報員たちの静かな攻防戦。リアリティのある抑揚の無いしぶーい映画で、
だからこそ言語だけリアリティに欠ける事が気になってあまり集中できなかったのが心残りです。
ダニエルブリュールいるので余計にになぜ…という気持ちに襲われてしまってなんか勿体無い見方をしちゃったなあ…。
といいつつ、フィリップシーモアホフマンは、ヨーロッパ多言語話者の話す英語を喋っている感が出ていて、やっぱり最高の役者さんだ…と感嘆するしかなく。
映画の結末も相まって、なんだか物哀しい気持ちにもなりました。
フィリップシーモアホフマンを堪能
こんなに悔しくて、やるせないラストなんて!
ホフマンのファーーーックク!!!
の叫びが!本当悔しい!
CIAが、アメリカがめっちゃ嫌いになりそうなラストですねこれは笑笑
このでしゃばり野郎ども!って叫びたくなる!
ホフマン演じる対テロドイツ諜報員バッハマンは頭が切れて仕事のできる男だけど嫌われてる。
ホフマンって嫌われ役をやらせたら世界一だね。
汚い手を使うこともあるかもしれないけど、この物語のどの組織より、人道的に描かれていた。
本当に世の中のCIAみたいな組織は、こんなに冷酷で汚いやり方ばかりなのかな。そうだとしたら本当に嫌だな。
なんてこと、真剣に考えてしまうくらい、重厚でリアリティのある作品でした。
あと、一つ一つの映像がとてもきれいで丁寧でした。
こういうセンスのいい映像って作品のジャンル問わず、癒されるなー。
ホフマンが銀杏の木が生い茂る公園にたたずむシーンとか、お気に入りだな。
本当に、もうこの方の作品が観れないかと思うとさみしいですね。
すごい。とにかく演技のすごさを感じる。
予告のラストは永久保存版
凄いタイトルだ。
全部鑑賞して振り返るとなおさらズシンとくる。
テロ。
絶対に防ぎたいけれど難しい…。
イッサは本当のところはどうだったんだろう?
日本でもテロ対策法が取りざたされていたけれど、イッサみたいな目に合うのかな?
名優の演技や演出等の映画としてのおもしろさに酔いしれるとともに、すぐそばにある現実と思うと、怖い…。
トミーやアナベル達もいつの間にか巻き込まれているわけだし。
原作未読。有名な『裏切りのサーカス』未鑑賞。
かなり端折っているのだろう。あの息子が父を裏切る理由が???だったりするのが難点といえば難点だけれど、映画の評価を下げるほどではない。
そんなわけのわからんところが、何に巻き込まれてどうなっていくのか?あの人の真意は?見えない相手はどう動く?と、渦に巻き込まれてしまった緊張感を体験させてくれる。
ホフマン氏の遺作。
本当にいつ倒れてもおかしくない様子が、演技なんだか地なんだかで、観ていて痛くなる。尤も演技にひきこまれて、後半気にならなくなるけれど。
あの予告は永久保存版。本当にいつまでも観ていたい。
そんな映画の余韻と、ホフマン氏への哀悼に逡巡するエンドロールに流れるのが、トム・ウェイツ氏の歌。沁みわたる。
月並みだけど、ほんとーーに、惜しい人を亡くした、と言ってしまう。ま...
時事が何ひとつ分からない!!
残るのは…
根こそぎ刈り取られる様はなんとも言い難いです。自分は何も得られず、他人が美味い蜜を啜るのですから。何より信じじてくれた人への申し訳なさ…
虚しさと心に残るダメージだけ…。その穴埋めは自分の信念を変えない限りはできないのでしょうか。
いい人ほど痛い目にあうことも多いということなのでしょう…
面白い映画でした!
タイトルなし(ネタバレ)
ハンブルグで諜報活動を行なっている熟練のスパイ、ギュンターはトルコから密入国したチェチェン人青年イッサの存在を察知。彼はイスラム過激派の要注意人物として国際指名手配されていてCIAも動き始めるが、彼が人権団体の弁護士を通じてある銀行家に接触しようとしていることを知ったギュンターは敢えて彼を泳がせて、自分が追い続けている人物へ接触させるべく利用しようとする。
曇天のハンブルグでイッサを巡って対立する組織と彼らに翻弄される善良な人々が織りなす重たいドラマが印象的で、銃声の1つもない地味なスパイ映画ですが主要な登場人物の胸の内にある願いが”平和”であるというどうしようもない皮肉に被さるトム・ウェイツの歌声が強烈なコントラストを残す傑作。残念ながら本作が遺作となってしまったフィリップ・シーモア・ホフマンの終始憂いを纏った佇まいに胸が熱くなります。
誰よりも惜しい俳優。
原作も秀逸なのだろうが(未読)、映画も主演俳優も秀逸。
ヒタヒタと緊張感が増す中、報われないラストが切なく残る。
J・ル・カレ作品の中では「裏切りのサーカス」より観易かった。
それにしてもP・S・ホフマンこれが最後の主演作品だったのか。
あーもったいない、そんな言葉しか出ないほど素晴らしい演技。
今作の完成を観ることなく逝ってしまったそうだが、何とか公開
にこぎ着けたこと自体が喜ばしい。それ程今作の演技は重厚だ。
タイトルの狙われた男とは果たして誰のことだろうと初めから
考えていたが、なるほど…やはりしてやられたか。酷いものだと
身につまされる。冷徹に見せても実は温情派、地位や栄光よりも
さらに大物を挙げるべく邁進するテロ対策チームの仕事人間だが、
そんな風にデキる男ほど狙われるに決まっている。彼の獲物には
CIAや人権団体まで絡んでこれは難しいぞと思う中、卓越した
手捌きで協力させては任務を遂行していくバッハマンだったが…。
レイチェル、ロビン、ウィレムと豪華競演陣の演技も素晴らしく、
誰が死んだわけでもないのに背筋がゾッとするシーンが多数ある。
そもそも国際指名手配のテロリストを匿う⇔泳がせるなんていう
ことができるんだろうか。しかもあんな目立つイケメンで真面目、
遺産も要らないなんてホントかよ?と思うくらい脱テロリスト系。
これで観客に共感度を増そうって作戦だな、なんて訝りながらも
まさかのラストで「あーっ!」となる。バッハマンが大声で喚く姿
が実に切ない。シャラっと車に乗り込む女のまぁ憎たらしいこと!
「東ベルリンから来た女」のN・ホスが忠実な女部下を見事に体現し、
取調室や車載カメラの寒々としたハンブルクの風景も身に沁みる。
(この頃のホフマンは更に太ってて、走るのがかなりキツそう~)
面白く深い
月並みだけど、ほんとーーに、惜しい人を亡くした、と言ってしまう。ま...
許されたいと願うことさえ許されない [各所修正]
元MI-5(英国軍情報部)出身の作家ジョン・ル・カレの
2008年刊行作『誰よりも狙われた男』の映画化にして、
昨年急逝したP・S・ホフマン最後の主演作。
ドイツに密入国してきたチェチェン人の青年イッサ。
ドイツの情報局はイスラム教徒である彼が
テロを企てている可能性を憂慮して彼をマークするが、
ベテラン局員のギュンターは彼をわざと泳がせ、
更に大きなテロ情報源を得ようと試みる……
というあらすじ。
鑑賞中に思い出したのは2012年公開の『外事警察』劇場版。
テロに対抗する為には民間人を利用する事もいとわない非情な世界。
イッサの悲惨な過去に同情を寄せ、彼にドイツ国籍を
与えようとする弁護士アナベル(R・マクアダムス)、
イッサの父と関わりを持ち、彼の父が残した
莫大な資産を管理する銀行家ブルー(W・デフォー)、
ホフマン演じるギュンターは民間人である彼らを
危険な世界へと引き摺り込む。
脅迫紛いの方法と良心に訴える方法とを巧みに使い分けて彼らを懐柔し、
過激派に関わりがあると思しき人物をイッサを利用して
罠に嵌めるよう仕向けるのである。
非常に打算的で冷徹な男に見えるギュンター。だが
物語後半になるに連れ、実はその内側には熱い血が
流れている事が分かってくる。
恐らくは彼の血を静かに沸き立たせた、CIA局員の言葉。
子供の戯言のようなその言葉を彼は繰り返してみせる。
「世界を平和にする」
もしかしたら、打算的に見えた行動の数々も――
情報屋のイスラム人青年を気遣う言葉も、
イッサをかばう弁護士を説得した言葉も、
銀行家ブルーの熱意を掻き立てた言葉も、
本当は駆け引きでも何でもなく、
彼の本心からのものだったのだろうか。
だが、あの瞬間。
突然みぞおちを殴られるような衝撃を味わうあの瞬間。
何かが起こる予感はしていたのだ。
それでも僕は裏切られたのだ。馬鹿だったのだ。
世界はこんなにも無情か。こんなにも非情か。
許されたいと願う事すらも許してくれないのか。
あの人物の魂からの叫びが、あの打ちひしがれた
哀切極まる表情が、未だに頭を離れてくれない。
.
.
全編ポリティカルサスペンスとしての緊張感に溢れ、
それでいて奥底には人間性を感じさせるドラマがある。
P・S・ホフマンを初めとした役者陣も残らず見事。
そして、あの幕切れ。
僕は完全にやられた。素晴らしかった。
<2015.01.25鑑賞>
余談1:
昨年10月の公開で劇場鑑賞は諦めていたが、
嬉しい事に少し近所のミニシアターで上映!
滅多に行かないのでなんだか申し訳ないけど
ありがとう某ミニシアター様……。
昨年観てたら2014年個人ベスト10内に挙げてたと思う。
余談2:
前述通り本作は、P・S・ホフマンの最期の主演作。
優れた演技力は勿論のこと、優しくも傲慢にもなれる
彼の風貌は、善悪の境界線のキワキワを歩む役において
ひときわ威力を発揮していたと思う。
序盤で彼が夜の街頭を歩くシーン。
店の照明をバックに浮かび上がる彼のフォルム。
彼で無ければ成立し得ないシーンだと思った。
亡くなるには早過ぎる役者さんでした。
ご冥福をお祈りします。
燻して燻し切った銀色。
いぶし銀の無常感
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