劇場公開日 2015年2月28日

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「心が洗われます」くちびるに歌を なつみかんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 心が洗われます

2015年3月4日
iPhoneアプリから投稿

まず、中学生という オトナとこどもの狭間時代でなければ味わえない 無垢な気持ち
傷つきやすい気持ち 熱い気持ちを
鮮明に思い出して、
あの時代が愛おしくてたまらなくなりました。

また、ピアノを弾くことをやめ、ピアノを弾かない臨時音楽教師として五島に赴任してきたユリが、
端々に、音楽が彼女のアイデンティティであるからこそ発せられる言葉がこぼれ
合唱部の活動にも手を貸さないつもりが、結局やり過ごすことができず
ほんとに少しずつ、少しずつ 再び音楽に近づいてゆく過程が丁寧に描かれていたことも好感が持てました。

唯一、ユリがピアノを弾けなくなるPTSDに襲われた原因となった出来事が
…そんなことで?と思ってしまいました。
原因となった事件とピアノを結びつけるのはちょっと牽強付会かなぁ…。

それ以外は、自閉症の兄をもつサトルの思い、その家族の描き方
自閉症者のサトルの兄から絞り出されるように発せられた言葉の重み
両親のいないナズナの葛藤 、ナズナを気遣うケイスケの仄かすぎる恋心の表現

丁寧に丁寧に、終始急がず奇をてらわず紡がれるストーリーに
何度もなんども涙がこぼれました。

それから、ラストの大合唱について、
あざとさを感じるというご意見を散見しますが、
合唱経験者としては、あれはとてもリアルなシーンだといえます。その歌を知っていて誰かが歌い出したらハモりたくなるし
声を合わせたくなるもの。中学生であればなおさらかな。

心洗われる映画です。ぜひたくさんの方に見ていただきたいです。

なつみかん
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