「浜辺に吹く穏やかな風のような」くちびるに歌を 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
浜辺に吹く穏やかな風のような
誰もが一度はやったことがあるであろう合唱。
授業だったり、合唱コンクールだったり。
合唱や、歌には何故か不思議な力があり、歌を歌ったり、聞いたりするだけで心が動かされることもある。
そんな合唱を通して、中学校の合唱部員たちの青春を描いたのがこの映画です。
もちろん逆ということもありますが、練習の初めはなかなか男子がやる気を出せず、女子の足を引っ張り、女子は男子にイライラする。
男子の中にも合唱が好きで得意な男子がいて、その男子たちを中心になんとか一つになって合唱を作り上げる。
そんな合唱あるあるがこの映画にはてんこ盛りで、そこにそれぞれの誰にも打ち明けられない悩みや葛藤、苦しみなどが交錯して話が進むので、涙なしには観れません。
訳ありの美人ピアニスト柏木ユリを新垣結衣さんが演じていましたが、こういう役もできるんですね。
この映画の後に逃げ恥を見たんですが、全くイメージ違って面白かったです(すみません、どうでもいいですね)。
終始ムスッとしていましたが、本番前の「私たちも戦うの」との言葉には心を打たれました。
ユリ自身も合唱部の部員たちに出会って成長したんだと思います。
そして、なんといっても本番、部員たちがそれぞれの想いを胸に生き生きと楽しそうに歌うシーンは素晴らしかったです。
なんたって楽しく歌うのが一番!
色々なことがあったけれど、この歌に全てを乗せて歌うんだという気持ちが歌に表れており、とても感動します。
結果が優勝でないのも好印象でした。
合唱部員も今見るとかなり豪華な面々です。
恒松祐里さん、葵わかなさん、柴田杏花さん、山口まゆさん、下田翔太さん、佐野勇人さん
特に、桑原サトルの兄で自閉症の桑原アキオ役の渡辺大知さん、良かったです。
最後の仲村ナズナとのシーンは観ているこちらがホッとできるシーンでした。
五島に響く15歳の少年少女の歌声の中で静かに進んでいく、とても温かい映画でした。