「合唱シーンが心に残る」くちびるに歌を ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
合唱シーンが心に残る
中学生の生徒たちが眩しすぎる。この合唱コンクールのことを、これからずっと宝物として生きていくんだろうなと思わせる。合唱の課題曲「十五の君へ」を物語の中心に置き、「生きる意味」「生まれてきた意味」など重くなりそうなテーマを扱いながら、観終わった後には爽快感だけが残る。生徒たちが抱える悩みと、先生が抱える悩みが、過去・現在・未来の時間軸で交錯しながら最後の合唱シーンへと収束していくのは、なかなか見事な演出になっている。話がきれい過ぎないように、嘘っぽくならないようにする配慮もある。お馬鹿な男子中学生や美しい先生の乗るポンコツ車などは、いいスパイスになっている。また船の汽笛の音が効果的に使われており、最後に回収されるのもよく工夫されている。新垣結衣のひとつの代表作であるとともに、子役たちにとっても今後の活躍に向けた重要作品である。
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