ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男のレビュー・感想・評価
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JBもチャドウィックも最高の魂(ソウル)を持ったスター
レジェンド・ミュージシャンは知ってる/知らないの差が激しい。
こちらは辛うじて。ジェームス・ブラウン。
通称“JB”。ソウル、ファンク、R&B、ブルース、ゴスペル…。ブラック・ミュージックの草分けにして、帝王。
日本でも人気は絶大で、映画の題材にも。西田敏行が熱唱してたね。ゲロッパ!
まず驚いたのが、超ビッグマウス&俺様な性格。
俺の音楽はこれまでのどの音楽でもない。唯一無二。グルーブを感じろ。
バックバンドには“ブラウンさん”と呼ばせ、絶対服従。
親しい者にも会社にも家族にも我を貫く。
高慢で傲慢。ヤな奴ではあるが、ここまでのし上がるのは波乱万丈があった。
生まれは極貧。両親は離婚。父親が引き取るが、暴力も。
父親の手を離れ、親戚を転々。奴隷のような労働も。
年端もいかぬ頃から犯罪にも手を染め、逮捕。その時刑務所で出会ったのが、ボビー・バード。
彼とバンドを作り、瞬く間に人気を博していくが…。
大手キングレコードからオファー。条件があり、人気絶頂のJBをメインとし、仲間はバック。
バードや仲間は反対不満。が、JBが選んだのは…。
美談だったらこれまで一緒にやってきた仲間を取るだろう。
しかし、JBはJB。その絶対さが仲間や友を失う代わりになっても、音楽史に不動の名声を築いた。
何も知らぬ者が良し悪しは決められない。それがJBの生きざま。
典型的なミュージシャン伝記映画ではあるが、テイト・テイラーの演出は見易く作られている。輝かしき栄光と活躍、名曲誕生、破天荒な振る舞い、派手な女性関係、友や仲間との確執、警察とカーチェイス(!)…。JBの光と陰、両面をしっかり描写。
劇中、グルーブやソウルを振るわせる楽曲の数々。
正直JBは名前や楽曲をちょっと知ってるくらいだったが、あ~この曲知ってる!…ってのが幾つも。意外や自分の耳にJBの曲がこびりついていてびっくり!
今見ると、ヴィオラ・デイヴィスやオクタヴィア・スペンサーら豪華キャスト。
ダン・エイクロイドの出演は“ブルース・ブラザーズ”繋がりでニヤリ。
レジェンド・ミュージシャンの伝記映画は自分の中でも好みは分かれるが、本作を感慨深く見れたのは、やはりチャドウィック・ボーズマンだろう。
前年2013年の『42 世界を変えた男』で注目されたばかりで、この頃はまさに上昇気流に乗った時。
本作でも圧倒的なパフォーマンス。
間違いなくこれからのハリウッドを担う名優になる筈だったのに…。
それから僅か6年で逝ってしまうなんて、この時誰が思っただろうか。
JBもチャドウィックも、魂(ソウル)を振るわせるスターだった。
ジェームス・ブラウン
JBと言われても「ゲロッパ」のフレーズしか思い浮かばないくらいだ。
それ程に全く接点がないままであったが、彼の残した音楽を聞くと何故だか心が弾む。体がムズムズする。
じっとしてるのが、勿体なく思えてくる。
そういう事を感じた映画だった。
ソウルミュージックとか、安易にカテゴリー分けしてるけど、そんな簡単なもんじゃないってのが分かった。
他に何もなかったし、出来なかったんだ。
歌う事以外。
そんな事がJBの成長を通して語られてたように思う。
過去を振り返るように紡がれる編集がとても印象的だった。
にしても…最早、憑依といっても過言ではないくらいの役作りには恐れ入る。
あんな足のステップ、振り付けとかすんのかしら?
カウントもクソもない。
ぶっちゃけフィーリングだろうと思うし、監修って立場の人が居たとしても、元のステップがJBの思いつきだろうしな。
コピーしようがない。
声といい、振る舞いといい…眼福でした。
ブルースで泣く!
JBのFunkの源を描きながらボビー・バードの友情とベン・バードとの交流を織り交ぜながら映画は進む。
JBにとってのFunkは“何か”を求めたための“あがき”でありそれを極めてゆく。時系列がバラバラなのはそのためだ。それにしたがって「Funkは俺にしかできない、俺がFunkだ!」という傲慢になってゆき、ボビーとの破局やベンとの死別へての孤独は本当にお決まりの展開なのだが……
最後がFunkじゃなくてBulesなんだぜ!
JB、お前こじらせツンデレしてんじゃねーよ! と思いつつも泣きましたよ! 声を堪えましたよ。
俺殺しだったわ。
唯一無二の男。
私にとって一番耳に残るJBはやはりあの「ゲロッパ!」だけど、
(正しくはGET ON UP)正に彼の人生そのものだったなぁと思う。
極貧生活で父に殴られ、母に捨てられ、窃盗で捕まった刑務所で
生涯無二の親友となるバンドマンと出逢う、映画みたいな人生。
彼には歌とダンスの才能が元々あっただろうが、偶然の命運が
彼に味方しなければ、こんな発展は絶対に望めない状況だった。
子供の頃からJBの歌はよく流れていたけど(顔が怖くって^^;)
ファンにはなれなかった、でもファンキーなシャウトを聴く度に
すげぇ、やっぱり黒人って歌上手いよなー!なんて思っていた。
日本でも人気の高かったJBは前述の映画タイトル^^;にもなり、
未だにエンターテイナーとして羨望の的であり続けているのだが、
まぁその半生といい行動といいハンパなく破壊的。奇行やDVも
よくニュースになっていた。そういった彼の人生を余すことなく
しっかり描いているところが今作の素晴らしさ。もちろん音楽は
(オリジナル音源多用)知っての通りだけど、あの人生でこの歌
ありきとあらゆる点でなるほど~なるほど~と思わざるを得ない。
時系列を前後した冒頭のライフル発射とパトカーチェイスなんて、
どこの犯罪者なんだよ、お前!と言いたくなるし、公民権運動の
最中で黒人が差別から這い上がる為のシンボルの一片がJBにも
注がれていたところが大きく、当時の時代背景の描き方も詳細だ。
彼は黒人社会を虜にしたけれど、彼自身は愛に苦しみ周囲の人間
を巻き込んでは傷付けていた。成功しても満たされない胸の内を
繊細にパワフルに(まるでコピーしたかのように)C・ボーズマンが
体現している。歌こそ吹替えなんだけど、彼にソックリである。
J・ロビンソンの時といい偉人を演じるのに縁があるのだろうか。
ラスト、親友ボビーとのエピソードに泣かされる。
(D・エイクロイドとの共演に懐かしさ倍増。人気者だったもんね)
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