「人間でいられるか、魔物となるか」ドラキュラZERO 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
人間でいられるか、魔物となるか
ドラキュラ伯爵のモデルとされている、15世紀に実在したトランシルヴァニア・ワラキ公国君主ヴラド3世。
強大なオスマン帝国の侵略から、国と民と愛する家族を守る為、魔物となるダークファンタジー・アクション。
またまたとんでもないB級ホラー・アクションかなと思ったら、意外に面白く楽しめた。
まずこのヴラド3世は“串刺し公”との呼び名がある人物だったとか。(その残虐性からドラキュラのモデル)
近年は故国を守った人物と再評価されているそうだが、そんな人物を英雄に?…と言うなかれ。
本作は史実映画じゃなく、あくまでエンタメなのだから。
演じたルーク・エヴァンスがカッコイイ。
普通に二枚目だし、セクシーな魅力もあるし、チョイ悪な雰囲気はドラキュラのモデルの人物にピッタリ。
戦いの場では先頭に立ち、国を案じ、何より家族を愛する。まさに英雄。
断腸の思いで魔物と契約を交わす。
ドラキュラってこんな能力あったっけ?…と思うほどのスーパーパワー炸裂。
漫画みたいな描写だが、スカッと爽快。
強大な闇の力を手に入れて、それで全て解決…ではなかった。(実写版「デビルマン」よ、見習え!)
余りにも重い代償が身を苦しめる。
3日。3日だけ耐え忍べば元の人間に戻れる。
しかし、血への渇望が激しく襲う。
強大な力で敵を蹴散らしたものの、魔物と恐れられる。慕われていた民から。
唯一の支えは家族。
契約が切れる寸前、ある悲劇が…。
その時、ヴラドは…!?
人間と魔物の狭間の苦悩。
クライマックスのあるシーンの悲しみ。
「大いなる力には大いなる責任が伴う」(「スパイダーマン」)
「奇跡の正当な対価」「奇跡ってのはタダじゃない」(「魔法少女まどか☆マギカ」)
ある台詞を思い出し、胸に迫るものがあった。
時間は90分と短め。ストーリーもシンプル。
ツッコミ所はあるし、ベタな箇所はあるし、ハリウッドお馴染み予算かけたB級かもしれない。
でも退屈する事なく、結構気に入った。