「今回はユーモアもあり、でも相変わらず欝。」ニンフォマニアック Vol.1 rockoさんの映画レビュー(感想・評価)
今回はユーモアもあり、でも相変わらず欝。
前作のメランコリアでついに地球を破壊してしまった欝王フォン・トリアー監督。次回作はいったいどうなってしまうのかと期待に胸を躍らせていましたが、今回もすばらしい出来でした。もはやトリアー監督の定番のシャルロット・ゲンズブールを見るだけで、ああ、また嫌な事が起こるんだろうなと不安になってきます。
今回は前後編で、以前のドグマはほとんど見られず、構成や見せ方もずいぶん親切な感じです。しかも洗練されたブラックユーモアたっぷりで、何度も笑わせていただきました。俳優陣も大変豪華。あ、トランスフォーマーの人だ、とか、スパイダーマンの悪役だとか、キルビルだとかトゥルーロマンスだとか、この俳優名前知らないけどいろんな映画で見たことある、という感じで楽しめました。セックスシーンは合成らしいんですが、どうやって合成しているのか分からないくらい自然です。
ストーリー前編は主人公ジョーの生い立ちから若かりし頃の話。全体にユーモアのほうが勝っている感じです。キリスト教文化圏の人には、赤裸々な性の告白そのものにショックを受けるのかもしれませんが、日本の場合、性についてのぶっちゃけ話は飲み会だとか雑誌の中でされていることなので、個人的にはそこまでのインパクトは感じることがなく、比較的軽いです。後編で欝展開への大きな前振りくらいに解釈しました。
というわけで前編、すべてが洗練されていて十分に楽しめました。傑作というよりは秀作、という感じです。
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