「フランス語のせりふがつなぐ小演劇映画。」メーヌ・オセアン comeyさんの映画レビュー(感想・評価)
フランス語のせりふがつなぐ小演劇映画。
「みんなのジャック・ロジエ」特集で上映される中では、もっともすぐれた作品。
「パリの駅で鉄道車両にかけこんでゆくブラジル人女性のフォローショット」で映画を始めて、彼女が改札で切符にパンチをいれなかったことをとがめていじわるする検札係が離れ小島の奇妙なバカンスから必死に町へ戻ろうとするシーンで映画を終える…などということが可能になるのは、ジャック・ロジエの映画くらい。この二つのシーンのあいだに、くるりくるり、思いつきの連鎖のように不思議な物語が展開してゆきます。
撮影も、ほかの作品ではまったく大したことありませんが、ここではなかなか見せるショットがいくつもあります。
しかし最大の見所はその脚本…というよりせりふで、行き当たりばったりみたいな奇妙な物語展開は、登場人物たちのフランス語によってつなぎとめられているんですよね。
フランスの小劇場のおおらかな笑いを楽しむべき佳品です。
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