「カンヌは絶賛しそう」岸辺の旅 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
カンヌは絶賛しそう
さすがはカンヌが絶賛した映画だけあって、ある程度予想はしていましたが、やはり私レベルが普通に楽しめる映画ではなかったみたいで。
単純にハートフルには描かない、単純に泣ける映画には仕上げない・・・何かいかにも通向け映画って感じがしましたね。
ラブストーリーと言う枠には嵌らない、ラブファンタジーホラーロードムービー?、作品の出来そのものは素晴らしいなと思いつつも、正直凡人の私にはいまいち作品に入り込めない壁みたいなものがあった気がしました。
まず何と言っても、細かい設定を理解するまでに少々時間が掛かりました。
浅野忠信が演じた旦那が幽霊であることは予告編等から分かってはいましたが、周りの人から普通に見えて、普通に生きている者として認識されている設定だったのがちょっとビックリ。
白玉をおいしそうに食べているところから不思議ワールド発動ですよね。
他にもたくさんの浅野忠信状態な人間が登場、こんなホラーでファンタジーな展開をサラリと描く黒沢清監督、凄すぎです。
しかし深津絵里の作った素朴な白玉、おいしそうだったなぁ~。
さてメインとなったのは三年間の空白を埋める旅でしたが、まあ正直見ていて主題がよく分からなくなった瞬間が何度もありました、しかし深津絵里と浅野忠信の演技にはグッと惹き込まれましたね。
やはり様々な想いに決着を付けてから旅立ちたい、人間とはそう言う生き物なんだろうなと改めて思わされましたよ。
そこを普通には描かないところが黒沢清流?、私はやっぱり苦手だなぁ。
まあ綺麗ごとだけじゃなく、ちょっと醜い愛想劇も織り交ぜた辺りなんかは、何気に作品のいいスパイスとなっていましたね。
深津絵里VS蒼井優の女のバトル、短いながらも見応えたっぷりでした、蒼井優の余裕感、あれは半端じゃなかったなぁ・・・。