劇場公開日 2015年9月26日

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「どしゃ降りの中で繰り広げられる流血流血」GONIN サーガ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

3.0どしゃ降りの中で繰り広げられる流血流血

2015年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

石井隆監督の1995年作品『GONIN』の続編『GONINサーガ』、試写会で鑑賞しました。
前作は公開当時に観たっきりなので、ハナシはほとんど忘れていたので、この映画を観る前は「大丈夫かしらん」と心配だったのだけれど、前作のエピソードがカットバックで挿入されるので、まぁ前作を観ていなくても大丈夫なつくりにはなっていました。

なんとも歳月を経た因縁噺だこと。
その因縁噺は、途中までは破綻しておらず(と、いっても大輔の立場はちょっと常識的ではないのだが)、ストーリーがどうなるのかしらん、と興味を抱いて観ていける。
特に、五誠会の三代目に囲われた麻美(土屋アンナ)が絡み、彼女の荒々しいキャラクターの助けもあって、かなり面白く観ていられました。

ですが、かつての事件の焼き直しのような襲撃事件と、それに続く組のヒットマン明神(竹中直人)の登場、さらに事件の生き残りの悪徳刑事・氷頭(根津甚八)が事件に絡みだしてからは、ストーリーがかなり無茶になってしまい、それを補うのが、石井隆の演出なのだが、これが好きか嫌いかで、この映画の好き嫌いは分かれるでしょう。

とにかく、全編、どしゃ降りの雨。
クライマックスの室内シーンにまでも、スプリンクラーで水浸しにしてしまうという念の入れよう。
さらには、流血、流血、流血で全滅殲滅の場面が続くなか、主要な人物はなぜか生き延びて、その流血に輪をかける。

あまりに過剰。
そこまでしなくても・・・の雰囲気。

でも、これが石井隆節。
さぁ、好きか、どうだ、嫌いか。

出演陣では土屋アンナの凶暴振りが群を抜いているし、安藤政信も板についた悪漢ぶり。
これに比べると、当初ものがたりの中心と思われた東出昌大が、キャラクターの書き込み不足で、線が細く、映画を支え切れておらず、残念。

129分とかなりの長尺ですが、石井隆の世界は堪能満喫しました。

りゃんひさ