「奴隷になるな。」シャトーブリアンからの手紙 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
奴隷になるな。
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「ブリキの太鼓」のV・シュレンドルフ監督による実話戦争ドラマ。
ドイツ占領下のフランスで起きた悲劇で、17歳のレジスタンス少年
ギィ・モケの名は、パリの地下鉄駅や街路につけられているという。
1人のドイツ将校暗殺の報復にヒトラーは、政治犯として収容所に
いるフランス人150名の処刑を命ずる。その中に占領反対のビラを
配ったとして逮捕されたギィもいたが彼はまだ17歳、ナチス兵でも
この報復はやり過ぎだと反対が渦巻き、指示回避に向けて奔走する。
物語は事実を淡々と描く。ギィが想いを寄せるオデットへのキスが
叶わない現実、審判後も反論を唱える牧師、非力を嘆く副知事、と
あらゆる論者を明確に描きながら、悪の恐怖へと事態は進んでいく。
実際に彼が遺した別れの手紙(本編でも流れる)全文をあるサイトで
読んだ。これが17歳かと思うほど毅然とした訴えが述べられており、
母親に向けては嘆かないで気をしっかりと持って生きていくように、
自分の死が必ず未来に役立つよう最善を望むと切々と書かれている。
理不尽な悲劇を最後までしっかりと描いている監督の力量に感服。
(どんな声を挙げても打ち砕かれる。命令の奴隷になるな、には同感)
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