「でも、こんな夫婦はいない。」愛を積むひと mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
でも、こんな夫婦はいない。
良質な日本映画を観た、という感じである。
実際に北海道ロケを行ったのかどうか定かではないが、風景が効いている。広いところにぽつんと家が建っている風情は、なんとも言えずよかった。
その小林家にはテレビはなく、音楽もレコードで聴いている。
昔のようにLPレコードが並べられていて、そのなかから今日の音楽をチョイスする。
東京での生活はなんともせせこましい様子だったようだが、この北海道の暮らしは、夫婦にとって、本当に良かったみたいである。
ふたりの価値観が、レコードのことといい、この北海道の暮らしのことといい、ぴったりと合っていたというのがうらやましい。
良子(樋口可南子)は、自分が先に逝くに際し、入念な準備をしていた。すごく頭のいい人がすることで、篤史(佐藤浩市)はそんな妻の掌の上で踊らされていただけなのかもしれない。
朝原雄三監督のゆったりした演出が、また北海道に合っていた。
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