チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛のレビュー・感想・評価
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人のエゴと欲望の行き着く先は何処なのか?
予備知識ゼロ状態、全くの白紙状態で本作を観賞した。
その為か、早い段階から、すっかりソフィアの若い画家との不倫と言う熱病が移されたようにハラハラドキドキと心が落ち着かない。
その不気味な高揚感と不安の入り混じり合った気持ちはついに、本作の最後迄いっきに私の感情を掴んで離さなかった。非常に精神的に疲れ果てる怖い作品だったと思う。
本作のヒロイン、ソフィアの年老いた夫のコルネリスの仕事がどれ程成功しても、喜びを分かち合う家族が存在しなかった事に加えて、跡継ぎが出来ない虚しさと、焦り等諸々の焦燥感で若い嫁との再婚で余計に自らの不安を煽る結果を招く事になる気持ちが、痛い、痛過ぎる。
そして、魚屋の野心と恋心、勿論若き画家ヤンの情熱も手に取る様に理解出来る。
男3人3様のそれぞれのエゴや葛藤、そして残り半分の純粋な気持ちの部分もこうも、直球を投げられると痛かった!
そしてヒロインのソフィアも、夫の恩に報いたい半面、年齢差は埋められず、若い画家との情熱が抑えられずに、道を踏み外して行くその人間の心の弱さ、これも苦しいし、痛い!非常に良く理解出来るだけに、痛かった!
人間って不思議な生き者で、やってはいけない禁止事項や、人の物は自分も欲しくなると言う嫉妬とつまらない欲が自らの運命を狂わせる悲しい性がある様だ。
ソフィアが着ていた目の覚めるようでいて、それで深く怪しい光を放つ深海の色のような青いドレス。
或いは月に照らし出され浮かび出す闇夜の空の様なブルーのドレスが、本作の登場人物みんなの心のエゴの象徴なのかも知れない!
逆にソフィアの着ているドレスがもしも、燃える彼女の情熱の様な真っ赤なドレスだったなら、きっとこれ程の魅力と言うか、魔性性はきっと半減していたかも知れない。
自分を始め、人間の心の奥にひっそりと声も出さずに隠れていそうな欲望やエゴが浮き彫りされる怖い作品だった。
フェルメールの絵画を鑑賞するような映画
重厚なセットと衣装が美しい。
主役の女性が、綺麗だけれど人間的な魅力に欠ける。人形のような表情は、生きていくための結婚だったせいだとしても観ている観客には物足りない。
フェルメールの絵画の実写を観に行くつもりくらいの感覚ならお勧めの映画。北側の窓からの柔らかな光、召し使いの部屋、青いドレスは、フェルメールの典型的な要素。
なぜかハッピーエンドだったことが、どこか物足りない物語の中で「まあ、いいか。」と思える展開だった。
光沢のあるウルトラマリンブルーに映える美しい肌の質感、アクセントの...
光沢のあるウルトラマリンブルーに映える美しい肌の質感、アクセントのチューリップには目を奪われる。勢いのあるチューリップ市場の熱気と共に加速する恋物語。
裏腹に、0.5秒の恋は青くてなりふり構わずで痛々しい。浅はかさはまるで一攫千金を狙うチューリップ市場に群がる人々の様。急速に熱が冷めていく。
話はメロドラマだが、雰囲気や人物描写だけで充分楽しめる
修道院で育った貧しい若い美しい女が年配の金持ちの嫁となるが、肖像画家と恋に落ちてしまう —- というあらすじからしていかにも女性向けの印象で、オッサンの自分は見るつもりではなかったのですが...
たまたま時間が合い見たところ、充分楽しめました! 見てよかったです
・時代の雰囲気が全体に非常によく出ているのでそれを見ているだけで楽しめる
・その時代と境遇のなかでのいろいろな人間の有り様が見られる
この二点に興味あるかたなら男女問わずオススメします
——以下、プロットの具体的なネタバレはしませんが、多少詳しい話——-
修道院で育った孤児のソフィアが嫁いで行くとき修道長は言う「子どもができれば安泰です。夫を愛し、敬い、従いなさい」
夫は香辛料の貿易で財を成した成功者。再婚だが子どもはおらず、後継ぎとなる子どもを強く望んでいる
ソフィアを娶ったのは何よりもまず子どもを産んでほしいからであり、そして肖像画を描かせたくなるくらい若く美しい妻が自慢となるからでもある
しかしソフィアは肖像画を描きにやって来る画家とやがて激しい恋に落ちてしまう
そりゃそうだ、夜のベッドで「我が兵よ、立ち上がるのだ!」などと宣うオッサン(笑)よりも、若くてイケメンのほうがいいよな
自分でも何か危険な予感を察したソフィアは、当初、あの画家は替えてください、と夫に言う。わかった、では少し様子を見よう、と夫。しかしあるときソフィアは、やはりあの画家で良いです、という。画家との恋に生きることを決めた瞬間である。その心変わりがいつ起こったかという描写がうまい
そのあと話はドラマチックに進む。幾分荒唐無稽ともいえる恋愛メロドラマ的な展開はやはり女性向けと言っていいかと思う (一般論で、すべての女性の好みだと言っている訳ではありません、悪しからず)
話の筋の詳細に納得できないと展開について行けないというかたにはこの話は向かないだろう
が、最初からドラマチックな話になることは予期できたわけで、自分はそれほど気にしならなかった(もちろん具体的な話の展開は予期していなかったが)
それより、当時の時代の雰囲気が映画全体で非常に良く出ている。石畳の道、石や木材の運河に架かる橋、レンガの建物、室内の台所や居間の調度品、雑踏やチューリップの競りが行われる居酒屋の熱気、そして人々の服装。金持ちはまるで桃とかにつける発泡素材の緩衝材のようなやつを襟に巻き付けてるが(笑)、細かくはいろんなデザインがある
そしてもちろん、ポスターのとおり、肖像画はまんまフェルメールの世界。暗めの室内に窓から差し込む光。ウルトラマリンのマント?も美しい色だ
こういう一つ一つの情景が映画全体を通して非常によく出来ているので、そういう雰囲気に触れたいかたなら見ているだけで楽しめる
もう一つ大きいのがそれぞれの人物像。盛り沢山のプロットなので、あらすじ上の繋ぎのような要素はバンバン削ぎ落とされてるし、同じような繰り返しによる人物の印象付けは限られている。しかしポイントとなるシーンではそれぞれの人物像がきちんと出るように表情、間、セリフなどでしっかり描かれている
それによりプロットの激しさにもかかわらず映画としてのまとまりをとどめていると思う。そのメリハリの付け方は非常に上手い
後継ぎのほしさ、虚栄心、愛、欲望、バブルと自由と金。夫コーネリアス妻ソフィアをはじめ、画家、使用人のマリア(これは彼女の物語でもある)や魚売り、そして修道長、それぞれの境遇の人間の有り様が見られて面白い
夫のクリストフ・ヴァルツは、狡猾な悪役のイメージが強いのでそんな人物像を予想していたが、ザ冷たい夫のようないかにもありがちな設定ではなかった
成功者でありながら要所で抑制の効いた、そして自己を顧みることができる人物像になっていて、それがいろんな意味でこの話の救いになっている
修道長のジュディ・デンチは物語世界全体を支える変わらぬ定点。流石
ドキドキ
キャスト目当てで内容はあまり期待せずに観たのですが全く退屈しない素晴らしい作品でした。
やはりデイン・デハーンとアリシア・ビカンダー、2人のシーンはとにかく絵になります。
コルネリスが悪役じゃないところもよかったです。
展開を予測できず終始ドキドキしながら観ることができ、周りにおすすめしたい映画になりました!
単なる不倫映画ではなくたっぷり楽しめる作品
この映画、単純な不倫恋愛映画ではない。
脚本は巧緻。
複数の登場人物の人生が、17世紀オランダのチューリップ・バブルを背景に描かれ、恋愛模様とチューリップの相場の2つのサスペンスが交差するストーリーが見事。
静謐な不倫劇をイメージしていたのだが、演出は意外とスピーディーで飽きさせない。
ネーデルラントのバロック全盛期の富裕層の生活や街並みの描写は、まさにフェルメールやレンブラント、ブリューゲル(父)たちの絵画のそのものだ。あの絵の世界が動いているのを見るようで、とても楽しい。
たっぷり楽しめる充実の作品。
孤児院で育ったアリシアは、年の離れた裕福な貿易商コルネリスに嫁ぐ。コルネリスの家には住み込みの女中マリアがいた。
ある日、コルネリスは夫婦の肖像画を書かせるため、画家のヤンを雇う。アリシアはヤンと恋に落ちてしまう、というストーリー。
この映画はマリアの語りで進む。
物語の主役である男と女ではなく、その目撃者が語るという、語りの円環構造。
ドアを開ける、閉める(締める)ことにより物語は進んでいく。こうしたモチーフの使い方も上手い。
ジュディ・デンチが修道院長を演じていて、今回もまた、いい脇役だ。
有閑マダムの優雅な午後にピッタリ。的な。
意に沿わない結婚、画家の青年といったところで想像できてしまうストーリー。それでも芸達者なキャストと無駄のない舞台装置で、美しく飽きない良作に。
ドキドキとホッコリに加えて、イケメン&文化と歴史の香り
イロイロ揃って1800円は悪いお買い物ではないでしょう👍
世界の中心だったオランダ
日本語訳が出てすぐに読んでかなり興奮して面白かった。それが映画になると言うので再読した。原作には冒頭の修道院の部分や修道院長がチューリップ栽培に関わっているという箇所はなく、映画でも必然性を感じなかった。残念だったのはコルネリウス。ヴァルツは子作り場面では滑稽で嫌らしさ満点だったが、最終的には優しい愛妻家で素敵過ぎた。ヴイカンダーは「リリーのすべて」の印象が強すぎて物足りなかった。画家と恋に落ちるのも早すぎるな~。でもそのスピード感がまさにバブリーでチューリップ相場とシンクロしていたんだろう。
三角関係をこじらせるチューリップ
時代劇なんだけど、スピード感のあるスリリングなラブサスペンスになっていて、最後まで退屈することなく楽しめた
名優たちを贅沢に使うキャスティングも良かった
17世紀のオランダではチューリップが大流行し、希少種の球根は一株で家が買える程に値が急騰する「チューリップバブル」が起きていた
その時代、修道院で育ったソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)は、世継ぎを産むために裕福な家庭の主人コルネリス(クリストフ・ヴァルツ)に買われ、結婚する
しかし、コルネリスが肖像画を依頼した画家ヤン(デイン・デハーン)とソフィアは恋に落ちてしまい…
貿易で成功した主人と、彼の家にもらわれてきた若い妻、そして、そんな人妻に恋した若い画家の三角関係を描いた作品だけれど、当時のチューリップバブルの熱が彼らの関係をより複雑にする
なぜならば、チューリップの希少種を一株売るだけで莫大な富をもたらし、貧乏な人でも、チューリップの株で一山当てれば、社会的地位を得ることができたからだ
そこで、ヤンはチューリップを売って富を得て、ソフィアを連れて遠くへ逃げようと考えた
彼らは、チューリップフィーバーという熱と、恋の熱、両方の熱に浮かれていたのだ
しかし、当時のチューリップフィーバーは、世界最古の経済バブルと言われただけあって、いつ弾けてもおかしくないというリスクがあった
今で言えば、いつ暴落するかわからない株に全財産を投入するようなものだった
そのバブルが、物語をスリリングにしていく
果たして、チューリップの株を売ることができるのか
そして、若い二人の恋は成就するのか
ハラハラドキドキしながら、その展開を見守っていた
この映画のポスターのように、まるでフェルメールの肖像画から抜け出てきたようなアリシア・ヴィキャンデルもとても良いんだけど
美しい青い瞳をしたデイン・デハーンがとても良かった
デイン・デハーンは32歳になるようなんだけど、まるで青年のようなピュアさがあって、すごく爽やかな雰囲気がとても良かった
あぁ、これはソフィアも恋に落ちちゃうよねーっていう説得力があった
まぁ、結局のところ、バブルに乗っかるよりも、地道に稼いでた方が良かったよね
と思うんだけど、恋の熱に浮かれていたからこそ、リスキーなバブルに手を出してしまったわけで、
恋は人の判断力を鈍らせてしまう魔力を持っているという話だった
このままいくと、これは悲しい終わり方になるのでは…
と思いながら観ていたんだけど、最後は予想外に明るく、希望を感じる終わり方で良かった
あまり下調べせずに観に行ったのですが…
デイン・デハーンとアリシア・ヴィキャンデルが出ているという認識だけで観に行ったのですが、クリストフ・ヴァルツやジュディ・デンチなんて名優やら、カーラ・デルヴィーニュも出ていてなんだか得した気分になりました。
この手の設定の話は凄く悲惨な結末になる可能性もあるので、どうなるのか最後までずっと心配でハラハラしながら観てしまいましたが、最後まで観た結果、私的にはとても好き。とても良かったです。
この作品に限りませんがデイン・デハーンの表情が堪んなく好きです…特に笑い方。とても愛しい…。
人生はバブル
アリシア・ヴィキャンデルのヌードに期待する男性には、
日本未公開ですが「フィフス・エステート/世界から狙われた男」
もお勧めします。
2011年9月2日、米国外交公電ウィキリークス流出事件で、外交公電
全25万通が公開されましたが、日米間の 外交公電は公開されたの
でしょか?
チューリップ・フィーバーは、オランダが東インド会社の交易により、
400%もの利益を上げ、市中にお金がありあまり、1593年頃から
チューリップの球根にお金が流れ込み、新品種に対しては高貴な品種名
が付けられ、チューリップの球根が高騰し、現物取引だけでなく、
先物取引も行われ、空売りも行われ、空売り禁止もされ、強化されま
したが、チューリップの球根の人気と価格は上がりましたが、1637年に
チューリップの球根の価格暴落し、終わりました。
これが、世界最古のバブルと呼ばれています。
その後も、チューリップは品種改良を重ね、人々を楽しませてくれて
います。
世界中で、日本でもバルブは繰り返されています。
チューリップの球根の代わりに「土地」、「住宅」、「リゾートマンション」、
「仮想通貨」で繰り返されています。
人間に欲がある限り繰り返されると思います。
人生もバブルみたいなものです。
人は生まれ、育ち、喜怒哀楽と色々あり、死んで逝きます。
私も弾けてもいいですから、一度はバブルに乗ってみたいと思います。
男性なら、人生を賭けてもアリシア・ヴィキャンデルと寝てみたいと
思います。
男という生き物のバカさ加減を描く
一見すると愛に生きる美女を描く古典風作品だが、実際は違う。
男という生き物の中に本質的に存在する馬鹿さ/愚かさ/宿命/情けなさ/空しさ/欲望/辛さ/悩み/を悲喜こもごもに描いた狂騒曲である。
アメリカのポスターのキャッチは、"desire" "obsession" "betrayal" である。恐らくこちらの表現のほうが作品の特徴をよく現している。
男なら、この作品に出てくる男の登場人物の中に必ず一人ぐらいは共感してしまう、あるいは心当たりのある奴がいるに違いない。(もしそうでない男がいたら、よっぽどの聖人か、そうでなければ同情に値する。)
私は身につまされるような登場人物ばかりであった。それだけ自分がいかに低俗で情けない人間であるのかと反省した次第である。だからこそ、観終ってとてもすっきりした気持ちになった。
ラストはちょっと甘めだが、現代でも十分通じる物語
貿易で隆盛を極めた17世紀のオランダが舞台。孤児として修道院で育てられたソフィアは、年の離れた豪商コルネリスの幼い妻として迎えられ、経済的には過不足ない生活を送っていたが、彼らの肖像画を描くために雇われた画家ヤンと道ならぬ恋に落ちたところから、人生の歯車が狂い始める、その様をドラマタッチで描いた作品。思慮の浅い若い二人の暴挙と言えば身も蓋もありませんが、チューリップの球根一つに途方もない値段が付くような異常な熱狂が支配する世の中、彼らも時代に酔っていたのかも知れませんね。しかし振り返ってみれば、私達も30年近く前に空前の好景気とその崩壊を目の当たりにしました。歴史は繰り返すと言うべきか、あるいは、過去から何も学べないほど私達が愚かだと言うべきか良く分かりませんが、全く皮肉なものです。ところで、当時の修道院が、球根の供給元としてチューリップ投機のある種胴元的な役割を果たしていたとは意外でした。
2018年度ベストムービー!
見応えのある中世オランダのラブストーリー。サスペンス風味もあって2時間飽きさせない。上映館が少ないのが残念だが、この秋、最も見応えのある一本だろう。名作。
*運命や一時の熱情・激情に翻弄されるとは、正にこの事だろう…。
*この映画、ロッテントマトとか、えらく評価低いなぁ…(笑)
成功するはずのない計画
名画から、飛び出してきたような美女。画家の若い男が、恋するのも分かる。美女の方も、跡取りを産まなければならないのに不妊で悩んでいる。老人の夫より若い男にひかれるだろう。若い二人は、チューリップで儲けて、逃避行を夢見る。召し使いの女が妊娠し、妻が妊娠さたように装う計画。チューリップの大事な取り引きで、アル中の男に頼む時点で、失敗するのは明白。ヒロインの綺麗さだけが、印象に残った。
特に書かなくても読まなくてもいいレビュ-
👰🏻『光をくれた人』のアリシア・ビカンダー(or ヴィキャンデル)さんがまた身勝手風な女性役でヒロインを、
(※小ぶりな乙杯でも見られたら嬉しい😳という方がいらしたら、作中で披露されてるので御覧になれば宜しいかと)
👨🏻💼『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』で悪枢機卿役や
『ジャンゴ 繋がれざる者』でその頭上でハリボテの歯をびよんびよん揺らす馬車に乗り歯医者を名乗る賞金稼ぎ役を演っていたクリストフ・ワルツ氏が夫役を♪フンフフ~ンと、
👫『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』のヒーロー&ヒロインの2人がキーマンと端役で、
👵🏻ジュディ・デンチ御大が陰の立役者役で、
そういった見たことある面々で、漫画的テンポ展開で分かり易さが=少々退屈でもありましたが、後味の良い(+★0.5)お話でありました、ハイ。
私がこのレビューで書きたかったのは【びよんびよん】唯それだけ。
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