「ラストはちょっと甘めだが、現代でも十分通じる物語」チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストはちょっと甘めだが、現代でも十分通じる物語
貿易で隆盛を極めた17世紀のオランダが舞台。孤児として修道院で育てられたソフィアは、年の離れた豪商コルネリスの幼い妻として迎えられ、経済的には過不足ない生活を送っていたが、彼らの肖像画を描くために雇われた画家ヤンと道ならぬ恋に落ちたところから、人生の歯車が狂い始める、その様をドラマタッチで描いた作品。思慮の浅い若い二人の暴挙と言えば身も蓋もありませんが、チューリップの球根一つに途方もない値段が付くような異常な熱狂が支配する世の中、彼らも時代に酔っていたのかも知れませんね。しかし振り返ってみれば、私達も30年近く前に空前の好景気とその崩壊を目の当たりにしました。歴史は繰り返すと言うべきか、あるいは、過去から何も学べないほど私達が愚かだと言うべきか良く分かりませんが、全く皮肉なものです。ところで、当時の修道院が、球根の供給元としてチューリップ投機のある種胴元的な役割を果たしていたとは意外でした。
コメントする