劇場公開日 2014年12月20日

「圧巻の演技、よくできた脚本、そして、うまいタイトル」百円の恋 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0圧巻の演技、よくできた脚本、そして、うまいタイトル

2024年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

興奮

安藤サクラの高い演技力を示す映画。冒頭のだらけきった生活をするところなど、みっともない姿を演じきって、リアルに「ひどい女だな」と思わせる。一方で後半のシャドーボクシングの素早い動きや相手をにらみつける表情なども見事に演じて、「なかなかやるな」と思わせつつ、その変化に違和感がない。1本の映画で幅の広い演技を見せる安藤サクラはさすが。

「恋」という言葉がタイトルに入っているけど、普通の恋愛とはまったく違う。相手を「すてきな人」と感じさせる場面はなく、むしろ突き放すような態度をされる。それでも「近くに居たいという気持ちがある」という関係。それを「こういうこともあるかも」と思わせる、よくできた脚本だと思う。

「百円の」という表現は、安っぽくて価値が低いということだろう。「すてきな人と出会って好きになる」という理想とは違うという意味で、うまいタイトルだと思った。

ずっと負けてばかりで、お金にも苦労し、バカにされることの多い人生だけど、「見返してやる」という反発心はあるというのは共感する。応援したくなるし、ボクシングシーンは力が入る。主人公の周りの人もひと癖ある人ばかりで、感じの悪い場面も描かれる。そういう庶民の出来事を「人生いろいろある。しょうがない」という感じが出ていて「落語のような味わい」も感じた。

「YOLO 百元の恋」という中国版のリメークが封切りされて、その映画評を読んで面白そうと思ったけど、上映している映画館が少なかった。というわけで、先ずは元ネタのこの映画をAmazonのレンタルで見た。

p.f.naga