「ちょっと展開にムリがあるのでは?」味園ユニバース harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと展開にムリがあるのでは?
山下敦弘監督の作品では『苦役列車』と『もらとりあむタマ子』が好きで、特に『もらとりあむタマ子』の小さな小さな一歩と言うか、タマ子の成長はとても楽しく観させてもらった。
その山下監督の『味園ユニバース』
まずのっけから「えっ!?」と思ってしまったのが、金属バットのシーン。
(それ死ぬだろ普通、最低でも重傷じゃないか?)って思ってしまった。
そう思わせるシーンは後半にもあり、それでも前半は渋谷すばるさんの佇まいと歌唱力、それと二階堂ふみさんの実在感のある可愛さに引っ張られて良かったのだが、二度目のバットのシーンは明らかに展開にムリがあると感じた。
今あるのもが全ての女と、過去の無い男が紡ぎ出す物語は良く、特に二人の演技も素晴らしかっただけに、後半のムリな展開はとても残念だ。
カスミが5本目の指を曲げるシークエンスなどは本作の白眉だろう。
記憶に残る良いシーンだった。
[古い日記]という曲の陰に見える和田アキ子さんの存在と鈴木紗理奈さんが醸し出す大阪っぽさの体現は本作の空気感にとても良い作用をしていた。《赤犬も勿論サイコーの大阪感だが》
と言うように本作は良いところが一杯あるにもかかわらず全体としては、「ん~!?」となってしまうのがとても残念。
渋谷すばるさんは北野武監督の作品などに出れば、結構良いんじゃないかと思った。
もしかしたら香港や韓国のノワールものに対抗できる作品が作れるのではないだろか?などと期待してしまう。
それほど渋谷さんはハマっていた。
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