「凡人は凡人であると知れということか…」FRANK フランク だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
凡人は凡人であると知れということか…
鑑賞から一週間ほど経過してしまって、役名をほぼ忘れてしまったですが、感想書きに挑戦です。
ドーナルくんが演じる、音楽家を目指しているけど全然いい音楽が描けない青年が、自らの限界と凡庸であるが故の愚かさを知るという物語といえます。
その知るまでのプロセスが彼本人以外からすると本当に迷惑だったことでしょう。
フランクやほかのバンドメンバーはちょっとぶっとんでます。
けれども彼らから生まれた音楽は、ドーナルくんよりはぜんぜんかっこいいです。
フランクの才能に自らの凡庸さを知り作曲はやめたという彼(ドンでしたか?)が弾く曲でさえ、ドーナルくんが明けても暮れても作り続けている曲よりも、全然いいわけです。
ドーナルくん(役名が思い出せない!)がどうしようもなく凡庸であることをうすうす気づきながらもどうしても認められない姿に、同じ凡人としては苦い共感を感じました。
でも、勝手に動画を公開したりってゆうのはやりすぎだわね。
このぶっとび気味のバンドメンバーがわたっていける世界は、動画を公開だのフェスにでたりっていう先にはないよね。凡人でもその想像力は持てると思うのね。君に足りなかったのは、自分の物差しが正しいと信じていて、ほかの尺度があることを知らなさすぎたことだと思うの。
その後の破壊に向かう描写は悲しい限りでした。
ドーナルくんは自分が招いた災難のイライラを、フランクにぶつけてしまい、フランクを思いっきり傷つけてようやく、いろいろ過ちに気づいたようでした。苦い苦い青春の終焉ということですかね。
このように、同じ凡人としてはドーナルくん側からの感想はいろいろ考えつくわけですが。
フランクとそのバンドメンバーに関しては、生きづらそうだな、無理せず自分ができることをやっていこうね、のようなぼやっとした感想しか思いつきません。クララに至っては私にはわけがわからない。
フランクをいとおしいなとは思うのですが、理由はわからないです。
ただドーナルくんのようにマスクはおかしいからいい加減外せよとは思わないです。その理由が理解できなくても、フランクがそうしていたいならばそのままでいいと思うのです。でも、フランクの気持ちは全然わからないのです。
ラストで、ついにマスクを取ったフランクがみんな愛してると歌いますが、そのみんなが指し示す対象が、やはり私にはわからない。メンバーのこと?ドーナルくんも含めてみんな?無理解も含めた世界を愛してるってこと?
でもわからないなりに、フランクがそこに喜びを感じているならば、それでいいなと思えました。
フランクの側から、もう少し理解できればよかったなと思いましたが、それは描き方云々ではなく、私の感性の問題なのかなと思っています。
フランクのマスクはかわいいと思いました。笑えるところもありました。マスクのスペアとその顛末とか… 缶に入った粉を貪り食うとか。あれはなんていう食べ物でしょうか。
フランクが突然ドイツ語をしゃべりだしてびっくりしました。で、ドイツ人奥さんと魂の交流ダンス…笑いました。
あと、場末のバーで歌うクララはちょっといいなと思いました。
湖畔の別荘地でのおかしな共同生活は微笑ましかったです。
蛇足ですが、とっても気になったことが1点だけ。
湖での火葬ってあれは大丈夫なのでしょうか。死体損壊とかにならない?