劇場公開日 2016年4月23日

「キモい!グロい!でも、日本映画バンザイ!」アイアムアヒーロー ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0キモい!グロい!でも、日本映画バンザイ!

2016年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

うわぁー!ギャー!キモい!グロい!もうイヤ!不快だ!
飛び散る肉片、噴出す血しぶき、鑑賞中、何度顔をしかめたことだろうか?映画館から出たい!逃げ出したい!そんな気持ちになりながらも、目はスクリーンに釘付けだ。そして、映画が終わると、日本映画がこれほどの作品を作ったという満足感に満たされる。

物語自体はゾンビ映画のド定番で新鮮味はない。けれども、日本という国を舞台にこの規模の、このクオリティーのゾンビ映画をやってのけてしまったことは高く評価すべきことである。私は下手にハリウッドナイズされた日本映画が増えていることに嫌悪感を抱いているが、これはゾンビ映画という西洋文化を見事に日本風にアレンジしてしまった類い稀な作品である。

いや、ある意味においてはハリウッド製のゾンビ映画を超えているのではないだろうか。買い物好き、巨漢、アスリートなど、ゾンビ側にも個性を与えており、そのことがきちんと物語の中で上手く活かされているし、拳銃社会でない日本であるからこその二連式の散弾銃を使ったガンアクションが後半トンデモないスリルを生み出している。

大泉洋、有村架純、長澤まさみという人気俳優見たさに劇場に足を運んだ人ほど、散弾銃で頭を撃ち抜かれるほどの衝撃を受けるに違いない。むしろ、この俳優陣を使いながらも、観客に一切の遠慮や気遣いをすることなく、トラウマ必至の残虐描写をした製作陣の勇気に感服してしまう。名脇役の徳井優も何とも良い味を出してくれているではないか!!

物語の伏線が未回収のところもあるし、不満が全くない訳ではない。けれども、作品全体から見れば些細な問題に過ぎない。この作品は間違いなく、日本のホラー映画を変えるだろうし、この作品にインスパイアされた作品も出てくるだろう。しかし、本作の掲げたハードルは極めて高く、次世代の製作陣自身がZQNにならなければ、飛び越えることはできないのではないだろうかと思ってしまう。

Ao-aO