「成熟した二人の愛情のゆるぎなさを実感」間奏曲はパリで Rubysparksさんの映画レビュー(感想・評価)
成熟した二人の愛情のゆるぎなさを実感
まず、この作品をみた恵比寿ガーデンシネマが再オープンして嬉しい。いい劇場だった。観た2本は奇しくも対照的な作品。先に間奏曲はパリでを観て、そのあとラスト5イヤーズをハシゴ。
カップルの始まりから破局までの5年間を描いた後者とは対照的に、こちらは強い愛情で結ばれた熟年カップルの数日間を描いたもので、地味な作品ながら、深い教訓に満ちていて、成熟した愛情の懐の広さに、すごく胸がいっぱいになり、最後は涙がたくさん出た。
この二作品で描かれていたカップルの関係の違いは、自分を律し、相手を思いやり、相手の過ちを許せたかどうか。それができるどうかは、人間的成熟、それに尽きると思う。
信じること、言葉にすれば一言ですむが、それが難しい局面はたくさんあり、それでも相手を信じる強さをグザビエにみて感服した。あの実直さにぐっとくる。
ブリジットも、相手にがっかりしたり、釈然としないことが積み重なって、ギクシャクしてしまっても、そして、ちょっと気になる人ができたり、いいかんじになって遊んでしまっても、一番好きな相手への気持ちはブレない。
前評判では不倫とか浮気という言葉もでていたが、描かれていたのは、不倫ではなく浮気ですらない、ちょっとした遊びである。
遊び相手となる、あのさすがに年の差ありすぎの若い男は実はゲスい輩で、トホホ…ってなるのはコミカルで面白い、そこで毅然としてるおばさんカッコイイ。ダンディなデンマーク人の紳士もお茶目だったけど、あのあとちゃんと妻に電話したのだろうか。
ブリジットが他の男と楽しそうにしているのを見つけてしまった夫の抑えの効いた行動は尊敬に値する。もちろん動揺するものの、逆上するでもなく、相手を責め立てることはせず、指摘すらせず、自分を省みて、改善する、相手のために行動する。
それができたのは、息子のトランポリンの芸を観て力をもらったというのもあるとおもう。私もあのシーンの芸には純粋に涙がでてしまった。
とにかく後半は、成熟した二人の愛情の懐の広さに心底感動してしまった。そんな二人なら、一生揺るがぬ愛情をそだてていけるだろうとおもった。見習いたい。