「000」ベイマックス 46さんの映画レビュー(感想・評価)
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多分3回くらい泣いた。
全体のお話としては、とてもまとまっていて涙あり笑いあり冒険ありでハッピーエンド、というものだと思う。
でもタダシとヒロとベイマックスのことを思うと、大変鬱なエンドだった。
タダシの人のためになる、人を守りたいという思いはとても素晴らしいものだし、それがタダシたる所以かもしれないけど、その素晴らしい優しさは、第一にヒロに与えてほしかった。
あの炎に取り残されてたのがお世話になった教授でなくとも、きっと彼は助けに行っただろうけど、炎の中の助けられるかもしれない人ではなく、目の前にいる確実に幸せにできる弟のことを考えてほしかった。
ベイマックスは確かにヒロを守れるし、ヒロのそばに寄り添ってくれるだろうし、タダシの代わりにはなれるかもしれない。でも、ヒロがここまで大きくなるまで一緒にいたタダシはタダシにしかできない役割だから、そのために、あの爆発に巻き込まれずに生きていてほしかった。
作品の中の「兄弟」というものにひどく弱いから、ヒロとタダシが隣り合っていないことがひどく悲しい。
そして何より黒幕として教授が生きていた、というのが、本当に、本当に、それなら闇落ちタダシで出てきてほしい。そのほうがいくらかマシだった。
それから、ベイマックスのデータはヒロの手元に戻ったけど、タダシが作ったベイマックスの外側、というか、身体?があの空間に取り残されているのが悲しい。
確かに脳みそで心臓のベイマックスのデータはあるけど、ヒロと寄り添ってあの空間まで一緒に入ったのは、あそこに取り残されてるベイマックスだから、あの判断が最良で最適だったとはいえ、悲しくさみしいことに変わりがない。つらい。
風景や街並みが素晴らしいという前評判通り、あの街をずっとずっと歩いてみたい!と思わせる素晴らしい景色だった。
日本なのか中国あたりのアジア圏なのか、というよくわからない街並みじゃなくて、確かに日本とサンフランシスコ?だっけ?アメリカの都市が融合した街だった。
キャラクターも魅力的でかわいくてかっこよかったし、ベイマックスは思わず抱き着きたくなるフォルムで動きで音だった。
タダシや残されているベイマックスの外側、に極端な思い入れを覚えなければ、本当に素晴らしい作品だと思う。
ただ個人的にタダシとヒロとベイマックス、ラボのみんなとおばさまに、ただただひたすら幸せになってほしかったから、タダシの死が本当に悲しくてたまらない、という印象が強く残った。