わたしは生きていけるのレビュー・感想・評価
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生きていく居場所
シアーシャ・ローナン演じるヒロイン、デイジーは母を亡くし、父とは折り合いが悪く、家庭に居場所が無いと思っている。
そんな16歳の彼女は一夏を過ごす為、ニューヨークからイギリスの田園地帯に住む叔母の家にやって来る。
複雑な家庭環境に育ち、思春期真っ只中の彼女は何処か投げやりで、叔母や3人の従兄弟にも排他的な態度をとってしまう。
それでもイギリスの豊かな自然と、人懐っこくて純真な従兄弟たちと触れ合う中で、頑なな心が徐々に解れていく。
しかし彼女と従兄弟たちの長閑な生活は、ロンドンで起こった核爆発によって打ち破られてしまう。
シアーシャ・ローナンは、イギリスに来たばかりの頃、従兄弟たちと打ち解けてから、そして戦端が開かれた後と、周りの状況の変化に応じてヒロインを繊細に演じ分けていく。
ヒロインを取り巻く状況は、戦前のイギリスの田園地帯での何気ない日常と、戦時下で従兄弟たちとも離れ離れとなり、衝撃的で殺伐とした日々とを描くことによって、際立ったコントラストを成す。
本作品ではデイジーと従兄のエディとの恋も描かれるが、背景に戦争があるので、ラブロマンスというより痛々しい切なさが漂う。
果たしてデイジーや従兄弟たちは戦争から生き残ることが出来るのか?
そして家庭に自分の居場所が無く、イギリスで従兄弟たちとの生活の中でそれを見出せそうになった矢先、戦争によって剥奪されてしまったデイジーは、生きていける場所を取り戻すことが出来るのか?
映画に登場する楽曲が効果的だが、終盤で流れるニック・ドレイクの「Which Will」が心に残る。
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