「ぬるま湯から抜け出せ」わたしは生きていける 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
ぬるま湯から抜け出せ
ニューヨークからひとりイギリスにやってきた思春期ガールデイジー。
幼い頃に母親を亡くし反抗的な彼女は、従兄弟3人とイギリスの田舎でひと夏を過ごすことになる。
はじめこそ反抗していたものの、次第に長兄エディに惹かれ、従兄弟たちとも友情が芽生え始めていたそんな矢先、第三次世界大戦が彼女らを襲う。
ある意味ジェットコースタームービーです。
OPとEDで、こんなに感情的にも映画的にも印象の違う映画はなかなか。
もし、今から戦争が起きたら…
命の重みや突然日常が奪われる虚しさなど、色々と考えさせられる映画でした。
はじめは気の強いデイジーのピリピリした感じが、中盤で次第に従兄弟と打ち解けていく際の美しい青春の風景があったと思ったら、荒廃した灰色の自然。
この変わりようには言葉を失いました。
WWⅠでもWWⅡでもない、未来の戦争の姿にポカーンと観ていることしか出来なかった。
ただ、第三次世界大戦だろうが、やってる事はなんら変わらなくて。
お話なので、過去の戦争の出来事をモチーフにしているのは当たり前なんですが、実際に(絶対起きてほしくないし、起こしてはいけないけれど)起きてしまうようなことがあれば、きっとこんな感じなんだろうと。
人間って愚かだな。それでもあり続ける自然って雄大だな。
想像以上に緊迫感のある、戦争が始まり捕まってからの脱走シーン。
普通に結構怖かった。
あんなにドキドキしながら映画観たのは久しぶりなくらいでしたが、自然の中で見ればちっぽけなことなのかもしれない。
だからこそ、デイジーが生命力溢れる強い女性として描かれていたように感じた。
そして、この映画を語る上で避けては通れないシアーシャ・ローナンの演技。
メイクも大きいだろうけど、冒頭の空港のシーンのデイジーと、エディに鷹を見せてもらっている時のデイジー、そしてパイパーを連れて山を彷徨う母性を感じるデイジーはどれも全くの別人のよう。
彼女の名演あっての映画の深み。
やはり良い女優さんだ。より好きになりました。
(お恥ずかしながら)ジョージ・マッケイ、トム・ホランドは名前しか聞いたことなかったけれど、今回分かりました。
メガネトムホ可愛カッコいい。